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【主張】コロナと心の健康 国や自治体の相談窓口の活用を
緊急事態宣言の期限が今月末まで延長され、先の見えない生活に不安やストレスをため込み、不眠や食欲の減退、気力の低下など精神面の不調を訴える人が少なくない。「心の健康」を守る施策を拡充すべきだ。
全国の都道府県と政令市にある精神保健福祉センターには、2月上旬から3月末までにコロナ関連の相談が1739件も寄せられた。「感染が怖い」「外出できない」「子どもの世話でストレスがたまる」など感染への不安や自粛生活の疲れを訴える内容が多く、コロナ禍の影響が強く見て取れる。
特に精神疾患を抱える人にとっては、ストレスの増加は抑うつ症状を悪化させたり、自殺などを誘発する恐れがある。悩みを抱える人が孤立するような事態は避けねばならない。
まずは、地元の精神保健福祉センターなどにつながる「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)といった電話相談や、パソコンやスマホからつながる厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症関連SNS心の相談」の利用を促したい。
政府は2020年度補正予算で、同センターによるビデオ電話やLINEを使った相談事業を後押しする経費を盛り込んだ。NPO法人など民間の取り組みも含め、相談者に寄り添う体制の強化を進めることが重要だ。
自治体もコロナに関する相談体制に力を入れている。例えば、長野県は5日に「お困りごと相談センター」を設置。健康や資金繰りなど、あらゆる相談を一括して受け付け、県内の各支援機関につなげている。こうした事例は他の自治体の参考になろう。
心の健康を維持する上で心掛けたいポイントがある。
日本うつ病学会は、日常生活を規則的に送ることが重要として、自己管理術をホームページで紹介している。具体的には▽毎日同じ時間に起床・就寝する▽少なくとも2時間は日光を浴びる▽毎日、できれば同じ時間帯に運動する――などだ。
電話やSNSで人と交流することも推奨している。こうした実践しやすい方法を分かりやすく周知することにも、行政は努めてほしい。