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コラム「北斗七星」
彼は東京出身、彼女は大阪出身。現在、大阪に住む2人は今年の夏に結婚式を挙げるつもりだった。会場を探していた3月、新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛に。東京にいる彼の両親にも会いに行けなくなった◆彼はスマートフォンのビデオ通話を使って、両親に彼女を紹介することに。少しぎこちない初対面だったが、両親は優しげな彼女の姿と声に安心した。後日、親同士もビデオ通話で挨拶。今月3日、2人は入籍、新たなスタートを切った◆会いたい人に会えない、行きたい所に行けないが、相手を大切に思うからこそ、離れていることも必要な時だ。実際に会えない中、テレワークだけでなく、プライベートでも「オンライン飲み会」「オンライン帰省」など“人とつながる”取り組みが増えている◆人と人との間隔を空けることは「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)」と呼ばれてきたが、社会的距離に“人間関係”は含まれない。それを明確にするため、「フィジカル・ディスタンシング(身体的距離の確保)」という言葉が使われるようになってきた。物理的に距離を取っても人とのつながりは保とう、ということだ◆一人で生きている人はいない。つながることで強くもなれる。分断より結合を、対立より協調を。この危機を乗り越えるためにも。(光)