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2018年8月20日

【主張】プルトニウム削減 実効性確保へ疑問ぬぐえず

国の原子力委員会がプルトニウムの利用指針を15年ぶりに改定し、保有量削減の方針を初めて盛り込んだ。

原発の使用済み核燃料を再処理する際に出るプルトニウムは核兵器に転用できる。

日本の保有量は約47トン。核保有国の英国、ロシア、フランス、米国に次ぐ多さで、原爆6000発分に相当する。核不拡散という安全保障上の観点からも、削減は当然だ。

新指針の眼目は、既存の原発でプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルの実施状況に応じ、「プルトニウムを必要量だけ製造する」とした点にある。そのために、各電力会社が互いに他社の原発でプルトニウムを消費できる仕組みづくりも促している。

ただ、これで実効性を確保できるか。福島第1原発事故後、プルサーマルで再稼働した原発が4基にとどまる中にあっては疑問を禁じ得ない。

余剰プルトニウムをこれほど大量に抱えることになった原因である核燃料サイクル政策に切り込んでいないのも、説得力を欠かせている。専門家の多くが「対症療法」と指摘するゆえんだ。

核燃料サイクルは、使用済み核燃料を全量再処理し、取り出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やして再利用しようというもの。政府は原子力政策の柱と位置付けてきた。

だが、高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉決定で、計画は実質的に破綻。技術的、経済的な困難さから、米英独などは既に撤退している。

新指針は、こうした状況の変化を一応踏まえてはいる。2021年度に完成する青森県六ケ所村の再処理工場の運転を制限するとの方針を明記したのは、その一例だろう。

しかし、一方でプルトニウムを「減らす」としながら、他方で「増やす」作業を続けるのは、明らかに矛盾ではないか。サイクル事業の継続を前提にした“苦し紛れの方針”としか映らない。

その意味で、政府は今回の改定をゴールとするのでなく、日本のエネルギー政策はどうあるべきかを考えるスタートと位置付けるべきだ。

あいまいな形のままのプルトニウム問題先送りはもはや許されない。今こそ本質的な議論を始める時である。

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