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【主張】院内感染の防止 PCR検査、無症状でも保険適用を
新型コロナウイルスの感染拡大は依然続いており、逼迫する医療現場を守る対策が急務である。
感染者数の増加に伴い、都市部の医療機関ではベッドが満床に近い状態が続く。また、手術件数の削減や外来・救急診療といった通常の診療も休止や縮小に追い込まれる事例が後を絶たない。
さらに深刻なのは、感染に気付かずに来院した人から感染が広がる「院内感染」を防ぐため、あえて通常の診療を制限する医療機関が増えていることだ。こうした動きは地方にも広がっている。
診療体制の制限に多くの患者は不安を募らせている。特に、難病など重い病気を抱える患者にとっては深刻であり、長期化すれば症状の悪化だけでなく、救える命が救えなくなる事態すら招きかねない。医療崩壊は断じて回避しなければならない。
院内感染を防ぐ対策として診療を制限することはデメリットも大きい。ここは、検査体制の拡充を急ぐべきである。感染症以外の目的で受診する人に対して、医療行為を提供する前にPCR検査を実施して感染者を早期発見することが重要だ。
ただ、既に一部の病院では、手術などの実施前にPCR検査を独自に行っているものの、1人当たり1万~2万円かかる検査費用は患者に代わって病院側が負担している。このため、検査実施が経営上難しい病院もあろう。
PCR検査は、肺炎の兆候などの症状がある場合に保険適用されるが、政府は無症状患者の検査も適用対象に加えるべきではないか。
この点については、公明党の山口那津男代表が22日のラジオ番組で提唱し、24日の衆院厚生労働委員会で高木美智代氏が政府に対応するよう求めた。加藤勝信厚労相は「保険適用はあり得る」と答弁しており、一刻も早い決断を求めたい。
加えて、人員や機材の確保などで可能な限り病院に負担をかけない体制を構築することが大切である。
言うまでもないが、国民一人一人が不要不急の外出を自粛し、感染リスクを避けることが、医療機関を守ることになる。このことも改めて強調しておきたい。