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新型コロナ対策を強化 安心届ける10万円一律給付
自粛、休業など変化に対応
難局克服へ“連帯”の意義も
政府は20日の臨時閣議で、1人当たり10万円の一律給付(仮称「特別定額給付金」)を盛り込んだ新たな新型コロナウイルス感染症緊急経済対策と、必要経費を計上した2020年度補正予算案を決定しました。同補正予算案は27日に国会に提出され、30日成立をめざします。
郵送・オンラインで受け付け
今回の一律給付は所得制限がなく、外国人を含め4月27日時点で住民基本台帳に記載されている全ての人が対象です。申請は世帯主が世帯全員分をまとめて行う仕組みで、郵送かマイナンバーカードを使ったオンラインで手続きができます。
郵送の場合、市区町村から郵送される申請書に給付対象者の氏名や振込先となる金融機関の口座番号を記入し、世帯主の運転免許証など身分証のコピーと口座が確認できる書類(通帳、キャッシュカードのコピーなど)を付けて返送します。
オンラインの場合、マイナンバーの個人向けサイト「マイナポータル」で振込先口座を入力し、口座の確認書類をアップロードすれば申請できます。
申請期限は、郵送の受け付け開始から3カ月以内。受け付けや給付の開始日は市区町村によって異なりますが、青森県西目屋村では、早ければ5月1日に給付を始める予定です。
本来の住所とは別の場所で暮らすDV(配偶者などからの暴力)被害者については、現在住んでいる市区町村の窓口に30日までに申請すれば、子どもなどの分も含めて給付金を受け取ることができます。
なお、今回の給付金は非課税で、所得税や住民税は課されません。
緊急事態宣言の発令に伴う外出自粛や休業によって仕事がなくなり、収入が大幅に減少するなど家計に深刻な影響を受けている人が少なくありません。
10万円を一律に給付する理由は、こうした人々の生活を広く支援するためであり、日本全体で一丸となってこの国難を克服するという“連帯”の意義も込められています。
公明党は、生活の急激な変化に政治が機敏に反応すべきとして、10万円の一律給付を主張。山口那津男代表が15日午前の安倍晋三首相との会談で直談判し、最終的に16日の首相と山口代表の電話会談で、首相から一律給付の方向性が伝えられました。
政府は当初、世帯主の収入が減少した世帯を対象に30万円を給付する方針でしたが、今回の決定に伴い取り下げました。
全ての人の暮らし守る
飯田泰之・明治大学准教授に聞く
――10万円一律給付の評価は。
飯田泰之准教授 高く評価しています。新型コロナウイルスの影響で起きていることは災害に近い。従って今回の一律給付は景気対策ではなく、収入が減って家賃やローンなどが払えなくなった人への決済対策と考えるべきです。誰が支払いに困っているか分からない状況にある今、一律給付は日本で暮らす全ての人の命と暮らしを守る意味で非常に重要になります。
――貯蓄に回る可能性など経済効果を疑問視する声もあります。
飯田 今回はあくまで決済対策であり、経済効果を期待するのはそもそもおかしい。家賃やローンなど固定費の支出に対する割合が高いのは年収400万~500万円の中間所得層で、目の前の支払いに直面しています。
もし払えなくなれば、日本各地でドミノ倒しのように破産や倒産が起きる恐れがあります。一つ一つの額は小さいとはいえ、とてつもない数になれば、大きな金融危機になる。一律給付は、それを防ぐ意味があるのです。
――スピード感や課題については。
飯田 一律給付は、まさにスピードを重視したもので、手続きも簡素になると聞いています。所得制限を設けるべきだったとの意見もありますが、今の状況で、高所得者を対象から外すための作業に時間を費やすのは無意味です。
一方、懸念しているのは、申請が世帯単位で、世帯主の口座に家族分の給付金がまとめて振り込まれる点です。この場合、親からの虐待やDVから避難している人などに給付金が届きにくい。
総務省は事前申請によって、これら事情のある個人へ給付できるようにするとのことですが、申請期間が短いといった問題も残ります。これに限らず、柔軟な対応が必要です。
――公明党の取り組みについて。
飯田 今回、一律給付を政府が決定するに当たり、公明党は現場の声を届けるボトムアップ(積み上げ)型の政党として本領を発揮したと言えます。突破力を感じた人も多いのではないでしょうか。
緊急経済対策
中小企業に最大200万円 雇用調整助成金も拡充
緊急経済対策では、10万円一律給付のほか、子育て世帯向けの臨時特別給付金として児童手当を受け取る世帯に子ども1人当たり1万円を支給します。
売り上げが前年同月比で半減以上の企業には「持続化給付金」を創設。中堅・中小企業に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円を給付します。
企業の業績が悪化したことによる従業員の解雇や雇い止めを防ぐため、休業手当を支払って従業員を休ませた事業主に支給する雇用調整助成金も拡充します。非正規、新入社員も対象です。中小企業は補助率を3分の2から5分の4に引き上げます。1人も解雇しないなどの条件を満たした場合、最大10分の9を助成します。