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2020年4月21日

新型コロナ被害 関係団体が緊急調査

文化芸術の灯 絶やすな 
4月以降の仕事 7割がゼロ 
手厚い支援を急げ

新型コロナウイルスの感染拡大で、演劇や音楽、歌舞伎、落語など多くの文化芸術公演が中止や延期に追い込まれた。突然収入が途絶えるなど現場の窮状について、文化芸術関係の20団体で構成される文化芸術推進フォーラム(野村萬議長)が行った緊急調査の結果と、同フォーラムの大和滋事務局長(日本芸能実演家団体協議会参与)のコメントを紹介する。

各地で文化芸術公演の中止が相次ぐ。写真は東京・歌舞伎座

「6月までの仕事が全部消えた」「本当にお金がない。現金の支援がなければ生きていけない」――。同フォーラムには連日、芸術団体、制作会社、劇場・ライブハウスの関係者や、フリーランス、現場スタッフから悲痛な叫びが相次ぐ。

同フォーラムの集計では、3月17日時点で確認できただけでも演劇やコンサート、歌舞伎、落語などの公演5600回が中止となり、損失額の推計は522億円に上る。それから1カ月余りで窮状はさらに広がっている。

同フォーラムは先週から、「フリーランスへの公的支援に関する緊急アンケート」を実施している。急な調査にもかかわらず、20日までに2900人以上から回答が寄せられた。

「4月の収入予想」については、76%が50%以上減少と回答。収入ゼロと答えた人も42%に及んでいる。「4月以降の新しい仕事の依頼」については、72%が「全く無い」と答えて、厳しい現状が浮き彫りになった。

一方、給付金や貸付といった公的支援について、フリーランスからは、「多様な依頼主から多様な仕事を受けており、全ての仕事のキャンセルと収入減少を証明することは困難」との回答が殺到。78%が「申請手続きに自信がない」と答えている。

同フォーラムは6日、緊急アピールを発表。「文化芸術は人々の想像力、創造性とノウハウの歴史的な蓄積、多様な分野の専門人材の総合力、そして人々の支援で成り立っているが、その分解は文化芸術の継承の危機であり、基盤が根こそぎ損なわれかねない」と訴えている。

各国で迅速な対策 独は最大約180万円

菅官房長官(左から2人目)に対策を申し入れた公明党の浮島智子衆院議員(右端)ら超党派議連=3月31日 国会内

世界的な感染拡大を受け、欧米やアジアの各国では文化芸術分野への手厚い支援策を迅速に打ち出した。

芸術家のための失業保険制度が確立されているフランスでは、その支給要件を緩和。ドイツは、文化芸術に携わる個人事業者に対して、家賃なども含めて最大約180万円の給付を決定し、直ちに交付を始めた。英国は劇場、ギャラリーなどを対象に約216億円を拠出、イタリアも約156億円の芸術緊急基金を設置している。

こうした中、公明党など超党派の文化芸術振興議員連盟は3月31日、国会内で菅義偉官房長官に対し、新型コロナウイルス感染拡大を受けた文化イベント自粛に関する緊急決議を提出。イベントを自粛した事業者の経済的損失が大きいとして、中止や延期などに対する補填や、フリーランスへの支援を急ぐよう要望している。

日本でも、中小企業や個人事業主に対する大規模な無利子・無担保融資や、個人への給付金制度などの対策を行うが、一層の支援強化が急務だ。

活動継続へ基金設立を
文化芸術推進フォーラム 大和滋 事務局長

私たちは緊急アピールで政府に対し、文化芸術関係者や事業者が公演中止などで抱えた損失を補い、活動を続けられるよう支援基金の設立などを求めました。

一つの公演を成り立たせるためには、多様な分野の専門家やアーティスト、スタッフが集まり、長い時間と資金をかけて準備しています。公演中止は、それに向けた創作、稽古など人々の営為、舞台づくりの成果が日の目を見ることなく、全て失われてしまうことを意味します。また、収束の見通しが立たない中、次の公演の準備ができない事態にも陥っています。まさに創造のサイクルの断絶です。

生活のために転職を考えている人もおり、将来世界的に活躍するかもしれない才能を失いかねません。

危機的な状況にあって、今、目の前の支援がなければ、日本の文化芸術の灯は消えてしまいます。

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