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無料低額宿泊所に法定基準
「貧困ビジネス」防止へ
改正法が4月施行 劣悪な施設に改善命令
生活に困った人が無料または低額で利用できる「無料低額宿泊所」の質を担保し、悪用を防ぐための改正社会福祉法が今月1日に施行された。劣悪な宿泊所に生活保護受給者を住まわせ、利用料として生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」への対策として、法定の最低基準を設けるなど規制を強化する【表参照】。公明党が推進した。
同宿泊所は2018年7月末現在、NPO法人や営利法人などが自治体に届け出た施設だけでも全国に570ある。その入所者1万7067人のうち9割が生活保護受給者で、困窮者の受け皿として一定の役割を果たしている。しかし、部屋を簡素な間仕切りで区切って複数人を押し込めるなどの悪質な事例が、一部で指摘されていた。
このため改正法では、従来は拘束力のない指針で示していた部屋の広さや消火設備などの設備・運営基準について、最低基準を厚生労働省令で定め、これを基に各自治体が条例で地域の基準を定めることとした。また、事業の届け出を「開始後」ではなく「開始前」とするよう変更。劣悪な施設には自治体が改善命令を出せるようにした。
届け出は、既に施設を運営している事業者も改めて行う必要がある。その上で厚労省は、同宿泊所と同様の事業を無届けで実施している事業者についても届け出が行われるよう、自治体の取り組みを促している。
良質事業者には生活支援を委託
一方、良質な宿泊所を支援するための改正生活保護法も1日に施行された。これにより、自治体が認定した宿泊所が福祉事務所の委託を受け、生活保護を受給する入所者への相談対応や服薬管理、家事支援、金銭管理の支援などの日常生活支援を行った場合に、自治体から委託事務費が支払われるようになる。4月以降に認定申請などが行われ、今年10月から順次、委託が始まる予定だ。
公明党は、国会質問などで同宿泊所の規制強化とともに「宿泊所での生活支援を制度的に位置付けるなどの見直しを」と要望。これらの主張が反映された一連の改正法が18年6月に成立した。