ニュース
【主張】SNS上のデマ 情報の真偽、見極めが必要
新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、LINEやツイッターなどのSNSでデマや中傷が広がり、社会に混乱を引き起こすことがある。情報が正しいかどうか、冷静に見極める姿勢を忘れないようにしたい。
14日には、熊本県の副知事が「日赤医療センター医師からの依頼。拡散希望。患者が急増しコロナ病床は満床に」との情報を知人からLINEで受け取り、県幹部ら約10人に転送していたことが判明した。この情報は同センターが否定しているもので、業務に支障を来すほど拡散しているという。
感染が拡大し始めた頃、トイレットペーパーなどの買い占めが起きたのも、「中国から原料が輸入されなくなる」といった誤った情報が原因だった。感染者やその家族、医療従事者などが誹謗中傷されるケースも後を絶たない。
SNSの普及によって、世界の情報伝達力は2002年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行時から68倍に拡大したという分析もある。その分、デマや中傷が社会に及ぼす影響も格段に大きくなっていることを深刻に受け止める必要がある。
では、情報の真偽を見極めるにはどうすればいいか。
まずは情報源の確認に努めることである。前述した熊本の事例であれば、日赤医療センターのホームページを見ればデマであることがすぐに分かる。
信頼性の高いメディアも役に立つ。SNSで得た情報が、大手の新聞社や放送局のニュースサイトでも報じられているかどうかを確かめることで、一定の裏付けを得られる。また、新型コロナに関する悪質商法については、国民生活センターが情報発信している。
社会の不安に乗じて特定の民族や社会の少数派などを対象にした悪質なデマが流布されてきた教訓も忘れてはならない。
東日本大震災の被災地では「外国人犯罪が横行」との流言を8割以上が信じたという。熊本地震では「ライオンが動物園から逃げた」とのデマが拡散した。
何より、自分自身がデマや真偽不明の情報の発信源にならないことを肝に銘じたい。