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【主張】オンライン化の加速 感染リスクの回避に重要
新型コロナウイルスの感染拡大により、福祉をはじめ対面型を基本とするサービスの提供が難しくなっている。スマートフォンやパソコンなどのICT(情報通信技術)を活用したオンライン化を一層加速させる必要がある。
政府は先週閣議決定した緊急経済対策で、医療や教育分野におけるオンライン化の推進を打ち出した。
医療分野では、希望する患者にオンラインによる診療と服薬指導を実施するよう明記した。これを受け、厚生労働省は受診歴がある人に限定されていたオンライン診療を初診から受けられるよう制度を緩和し、13日から運用を始めた。薬は原則7日分までを郵便書留などで配送する。
新型コロナによる院内感染が後を絶たない中、医療従事者と患者らの感染リスクを減らすためには、診療や服薬指導のオンライン化は重要だ。
ただ、本格的な普及には課題も少なくない。
オンライン診療に関するある企業の調査によると、回答を得た全国250病院のうち、「実施する」と答えたのは2割に満たず、「実施しない」「分からない」がそれぞれ約4割を占めた。
実施しない理由は、システムや人員のやりくりなど「環境整備」が約9割に上り、「診療に対する責任」「需要・ニーズが読めない」などが続いた。施設整備費への補助といった病院側を後押しするような取り組みが必要となろう。
教育分野について緊急経済対策には、休校中の学習を支援するため、ICTを用いた遠隔教育の実施が盛り込まれた。テレビ番組や動画などオンライン教材を使った場合も正式な授業に参加したものと認め、オンラインによる教育課程も充実させる。
また、高校は現在、対面授業と同等の教育効果がある場合に限り、単位に上限を設けて遠隔授業を認め、大学も同様の措置を取っているが、緊急経済対策では単位数の制限緩和を求めている。
こうした対策が円滑に実施されるよう、学校側のICT環境の整備を急いでほしい。 このほかにも、介護をはじめオンライン化を進めるべき分野は多い。社会機能の維持に先端技術をしっかり役立てるべきである。