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【主張】原発の安全性 新制度で緊張感ある検査を期待
東京電力福島第1原子力発電所事故の教訓をいま一度思い起こし、不断の努力で原発の安全性を確保していくとの決意を強める契機としたい。
原子力規制委員会は今月1日、原発の安全性を確認する新たな検査制度の運用を開始した。
同委員会の事務局に当たる原子力規制庁の検査官は、各地の原発をはじめとする原子力施設に常駐し、設備などの安全性を確認するための検査を行っている。
新検査制度では、検査官が原子力施設にいつでも立ち入り、設備などを自由に確認できる「フリーアクセス方式」を導入した。この点を高く評価したい。特に、検査官と原発を運営する電力会社などとが十分に意見を交換し、協力することで「気付き」を増やしながら原発の安全性を確認するという方針は重要だ。
例えば、2018年10月から新検査制度が試験的に運用されていた中で、北海道電力の泊原発で、ヨウ素やトリチウムなどの放射性物質の大気中への放出量を31年間にわたり間違って算定していたことが昨年12月に分かった。
これは、放射性廃棄物を燃やした際に出る排ガスをフィルターで処理して大気中に放出する配管の腐食防止のため、空気を入れて排ガスの濃度を薄めていたことが忘れられていたことに気付いたからこそ発覚したことだった。
これまでの検査は、原発を運営する側に検査の日時を事前に伝え、あらかじめ決められた項目を確認する「チェックリスト方式」だった。
しかし、これは、裏を返せば「チェックリストにないことは検査をしない」ということでもある。それ故、従来の検査が形骸化しやすいことは否めない。
実際、国際原子力機関(IAEA)は16年4月にまとめた報告書で「原発の制御室内で数多くの警報が鳴り響いていたにもかかわらず、検査官は警報に注意を払わず、チェックリストの項目だけを確認していた」と指摘し、日本の検査の改善を要請していた。だからこそ、これまでの形骸化しやすい検査から脱却しなければならない。
原発の検査のマンネリ化は許されない。緊張感のある検査を継続することが重要だ。









