ニュース
【主張】水際対策 コロナ終息に不可欠、一層強化を
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、医療体制の整備や外出自粛の要請といった国内対策と並んで重要なのが、海外からの感染者の入国を防ぐ水際対策である。
外務省は3月31日、米、英、中、韓など49カ国・地域の全土に対する感染症危険情報を2番目に強いレベル3に引き上げ、渡航中止を勧告した。レベル3の国や地域を除く国や地域についても、感染症危険情報をレベル2(不要不急の渡航自粛)に引き上げた。
これらの措置を踏まえ政府は、レベル3とした国・地域について、過去2週間以内に滞在した外国人の入国を拒否する措置を近く発表する。
これは、海外からの入国者による感染事例が増加していることに強い危機感を持っている証しにほかならない。
実際、直近の10日余りの間に、海外で感染して入国したと疑われる感染者が連日10人を超えて確認されている。国内で陽性と確認された人のうち、海外で感染したと疑われる帰国・入国者の割合は、3月下旬で4人に1人に上っている。
厚生労働省は30日、成田、羽田両空港で海外から到着した男女計20人の感染を確認したと発表。京都産業大学では、同日までに学生ら16人の感染者が確認されたが、欧州旅行から帰国した学生らによる集団感染の可能性が指摘されている。
いくら国内での対策を強めても、入国者による感染を食い止めることができなければ、新型コロナを終息させることは難しい。水際対策の重要性は一段と増していると言えよう。
ところが、成田空港では先週、検疫強化の対象となっていた米シカゴからの到着便の乗員乗客に対し、誤って自宅などでの待機要請をせず検疫を通過させていた。こうしたミスが起こるようでは、水際対策の実効性が疑われる。関係者の危機管理に対する自覚を強く求めたい。
31日現在、世界の感染者は176カ国・地域で累計約76万人以上となっている。感染に気づかずに帰国、入国する人が増える可能性も否定できない。政府は、各国との連携を一層密にしながら、水際対策の強化を進める必要がある。