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急務の老朽マンション対策
老朽化によって外壁が剥げ落ちるなど、居住者や周辺住民に危険を及ぼす分譲マンションが社会問題になっている。政府は先月末、マンションの適正管理と建て替えの円滑化に関する二つの改正法案を閣議決定し国会へ提出した。老朽マンションの現状と法案のポイントを解説する。
分譲マンションは特に大都市圏に多い。総数は2018年末時点で約655万戸に上り、国民の約1割に当たる1525万人が暮らす。
建物や設備は老朽化によって破損しやすくなるため、使い続けるには12年程度の周期で外壁などの大規模な修繕が必要とされている。しかし、実際は修繕されないまま老朽化しているとみられるケースが少なくない。
国土交通省の調査によると、築40年を超える古いマンションのうち、大規模修繕が2回以下のマンションは4割近くに上り、修繕不足が懸念されている。建て替えは累計でも244件、約1万9200戸しかない。
築40年超の4割 修繕不足
鉄筋が腐食し崩落の恐れも
今後、築40年を超えるマンションの急増が見込まれ、20年後には現在の約4.5倍に当たる367万戸が該当する。修繕されずに老朽化が進むと、外壁の剥げ落ちや鉄筋の腐食による設備の崩落といった危険な事故が起こりかねず、対策が急務になっている。
所有者の合意など多くの課題
修繕が進まない理由は、戸建て住宅と違い、1棟を複数人で区分所有するマンションの特殊性にある。区分所有者は、それぞれの年代や経済力、ライフスタイルなどに違いがあるため、建物全体や共用部分の維持管理に関する合意形成が難しい。
例えば、若い世代と高齢世代では、必要と感じる修繕の内容や金額は異なる。将来の売却に備え、建物や設備を良い状態で保ちたい人と最低限でいいと考える人の場合も同じだ。
管理組合で長期計画を立てて修繕積立金を設定しても、滞納や空き家の発生、災害による突発的な修繕への支出などがあれば積立金は不足する。実際、約35%のマンションでは計画通りに積み立てられていない。
今国会に改正法案
・適正管理へ優良物件認定
・敷地の売却要件 緩やかに
政府の改正法案は、マンション管理の適正化について国による基本方針の策定を明記。自治体の積極的な関与を後押しするため、実態調査や通報で管理計画の不備などが判明した場合、自治体が管理組合に指導できるようにする。
管理が行き届いたマンションを認定する仕組みもつくる。修繕計画や積立金の徴収方法、総会の開催状況などで一定基準を満たすと、優良物件として自治体がお墨付きを与える。物件探しの判断材料とすることで、管理組合による適正な管理の動機付けを高める狙いがある。
また、著しい劣化で修繕が困難なマンションについて敷地を含めた売却や建て替えを容易にする。現在、敷地を売却するには所有者全員の同意が必要とされているが、「5分の4以上」に緩和。建て替える場合は、自治体の承認を条件に、基準以上の容積率(敷地に対する延床面積の割合)も特例として認める。
一つの敷地に複数の棟が並ぶ住宅団地については、老朽化で危険性が高い一部の棟の敷地を分割しやすくする制度を創設。これまで団地所有者全員の同意を得ないとできなかった敷地の分割を、「5分の4以上」で可能とする。これにより、棟や区画ごとに敷地の売却や建て替えができるようになる。
届け出を義務化する自治体も
既にマンションの実態調査や管理状況の届け出制度を行っている自治体もある。東京都は、昨年3月にマンションの適正管理に関する条例を制定。来月から、1983年以前に建てられたマンションに管理状況の届け出を義務付ける。
本格的な取り組みの第一歩
党マンション問題議員懇話会 井上義久 会長(衆院議員)
マンションは都市部で人口の3割程度が暮らす主要な居住形態であり、老朽化や管理不全などは日本の住宅政策の今後を左右する最重要な課題だ。今手を打たなければ、将来のまちづくりにも大きな影響を与えかねない。
今回の改正法案は、マンションが抱える課題に対し国や自治体が本格的に取り組む第一歩として意義がある。
公明党は、2000年9月にマンション問題議員懇話会を結成。業界団体とも連携し、マンション問題の解決に一貫して取り組んできた。今回の改正法案も、昨年6月に同懇話会が国土交通相に対して申し入れた提言を踏まえた内容になっている。
居住者が安心して暮らせるよう、管理の適正化や建て替えの円滑化を進める改正法案の成立に全力を尽くす。











