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あおり運転 許さない
厳罰化、免許取り消しも
道交法改正案 公明がリード
岡本三成 党プロジェクトチーム座長(衆院議員)に聞く
他の車両の通行を妨害する目的で、急ブレーキをかけたり、車間距離を詰めたりする「あおり運転」を厳しく取り締まるための道路交通法改正案は、今月3日に閣議決定され、今国会で審議される見通しだ。公明党あおり運転対策防止プロジェクトチーム(PT)の岡本三成座長(衆院議員)に改正案のポイントや公明党の取り組みなどを聞いた。
――あおり運転対策の議論が始まった経緯は。
岡本三成座長 あおり運転は2017年6月、東名高速道路で、ワゴン車が追い越し車線上で停車させられ、後続の大型トラックが追突して一家4人が死傷した事故を契機に社会問題化した。さらに19年8月、常磐自動車道で、後続車の進路をふさいで停止させ、被害者に暴行を加えた事件が明るみになり、あおり運転への厳しい対処を求める声が強くなった。
現行の道交法では、あおり運転自体を罰する規定がない。このため、警察は同法の車間距離保持義務違反などを適用して対応しているのが現状だ。
公明党は社会に広がる不安や厳罰化を求める声を受け止め、19年8月にあおり運転の対策を強化するためにPTを設置。同12月には、あおり運転の定義付けや罰則の創設を柱とした道交法改正を求める提言を政府に申し入れた。今回の改正案は、公明党の提言を基に作られており、まさに主導的な役割を果たした。
――改正案のポイントは。
岡本 改正案の特徴は、あおり運転の構成要件を明確にしたことだ。他の車両の通行を妨害する目的で、交通の危険を生じさせる恐れのある運転行為であると明記した上で、車間距離を詰める、クラクションを執拗に鳴らすといった行為を列挙している。
被害者からすれば、後続車からクラクションを鳴らされ続けたら恐怖やプレッシャーを感じ、緊張感から運転操作のミスにつながりかねない。こうした事故を誘発する恐れのある運転行為を刑罰の対象としたことは画期的だ。
罰則については、飲酒運転と同程度とし、高速道路上で相手の車両を停車させるなどの行為があれば、さらに加重される。免許取り消し処分の対象にもなる。
――あおり運転をなくすには、運転者の意識啓発も必要では。
岡本 改正案の早期成立とともに、成立後に国民への周知徹底が重要だ。それによって、飲酒運転と同様に、あおり運転を許さない社会の雰囲気が生まれ、加害者になり得るドライバーへの抑止力となる。併せて、ドライブレコーダーのさらなる普及にも取り組みたい。
また、免許更新などの講習時に、あおり運転による事故の悲惨な事例を映像で紹介するなどの安全運転の啓発や、怒りの感情とうまく付き合うための「アンガーコントロール」という心理トレーニングも推進したい。