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2018年7月19日

医療的ケア児 専用車両で通学送迎

看護師同乗 保護者の負担軽く 
特別支援学校18校 9月以降に本格運行 
東京都

医療的ケア児を送迎する専用通学車両。電動リフト付きで看護師が同乗する

生まれた時からの病気や障害により、たんの吸引や栄養剤の注入などの医療的ケアが欠かせない医療的ケア児(医ケア児)の通学を支えようと、東京都は9日から、専用通学車両の試験運行を都立肢体不自由特別支援学校3校で実施し、注目を集めている。都は安全確保のため、通学バス乗車中に医療的ケアが必要な場合、保護者による送迎を原則としているが、看護師同乗の専用車両を用意し、ケアと送迎を代行できるようにした。9月以降の2学期から都立肢体不自由特別支援学校で順次運行を開始し、全18校での本格実施をめざす。

平日午前9時近く。試験運行を実施している北特別支援学校(北区)に、医ケア児を乗せた電動リフト付きのワゴン車が到着した。運転手が車内後方から、車いすの生徒を介助しながら降ろし、同乗した看護師が健康状態を確かめる。出迎えた学校関係者への引き継ぎが終わると、看護師が「行ってらっしゃい」と優しく声を掛けた。

今回の試験運行は、特別支援学校3校の医ケア児5人を対象に、学校と各児童・生徒の自宅付近を送り迎えしている。車両の乗り降りは運転手が介助し、移動中は医ケア児の状況に応じて停車。看護師が血中酸素濃度を確認したり、たんの吸引などの処置を施す。

乗務した看護師は「渋滞で乗車時間が長くなる時もある。送迎する子どもが苦しくならないよう、体調について普段発するサインを学校や保護者と共有し、気にかけている」と話した。

都教育委員会によると、専用車両の利用を希望する医ケア児は200人ほど。1車両に2、3人の乗車を想定し、車両の確保を進めている。ただし、人工呼吸器を付けた医ケア児は対象外。都の規定では、看護師が特別支援学校で実施できる医療的ケアのうち人工呼吸器の扱いは、機器の作動確認に限定され、命に関わる操作を含めていないからだ。

この課題解消に向け、都は今年度から2年間、医師の指導のもと、特別支援学校に常駐する看護師が人工呼吸器の操作も行う医療的ケアのモデル事業を1校で実施。保護者が子どもに付き添うことなく学校生活を送れるよう、安全なケアの在り方を模索し、対象を広げたい考えだ。

一方、専用通学車両の本格運行には、看護師の確保が欠かせず、都は関係団体への呼び掛けなど広報活動に力を入れる。北特別支援学校の古山尚秀副校長は「保護者から『待ってました』との声が多く、期待は大きい。試験運行の検証を生かし、本格実施につなげたい」と語っていた。

都議会公明党が推進

医ケア児の通学手段の確保については、都議会公明党(東村邦浩幹事長)が昨年12月定例会で保護者の痛切な思いを代弁。親が送迎できない理由で、通学を諦めたり欠席する子どもがいるとして都に早期解決を迫り、今回の取り組みに結び付けた。

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