ニュース
東日本大震災9年 被災地の春(下)
福島県
浪江町、相馬市
故郷の「焼そば」で町を元気に
福島県浪江町のご当地グルメ「なみえ焼そば」。うどんのような太い麺で“腹持ち”がよく、50年前から町民に愛されてきた。
その麺を作り続けてきたのはJR浪江駅前で工場を構えていた合資会社「旭屋」である。同社は東日本大震災で工場や倉庫が倒壊。さらに東京電力福島第1原発事故で全町避難を余儀なくされた。
郡山市で避難生活を送りながら仙台市の業者に製造を委託した時期もあった。だが「地域の宝・なみえ焼そばを絶やさないように」と、2014年には相馬市内に工場を新設。以来、なみえ焼そばを提供する店舗や、お土産用の商品などで使う麺を提供し続けている。
旭屋本社工場の田河朋裕統括部長(36)は「震災で傷ついた町と町民を元気にしたい一心で、工場を新設しました」と述懐。JR常盤線の全線再開を受け「今後も、なみえ焼そばで町を元気にし、皆さんに喜んでもらいたい」と故郷の味に復興の心意気と未来への希望を込める。
川俣町
ハート形の花卉 復興の一助へ
復興への思いを込めて、アンスリウムを栽培する谷口さん=福島・川俣町
艶やかで、色鮮やかなハート形が印象的な観葉植物「アンスリウム」。花に見えるのは、仏炎苞と呼ばれる葉が変形した花卉。赤や白、ピンクなど600種類以上ある。福島県川俣町では、復興のシンボルとして栽培に力を入れ、東京五輪・パラリンピック会場での装飾もめざしている。
同町山木屋地区では、谷口豪樹さん(32)が13種類8000株のアンスリウムをビニールハウスで栽培。同地区は、東京電力福島第1原発事故の影響で、2017年春まで避難指示が出されていた。そのため谷口さんは「避難指示が解除されても、若い人の帰還は少なく、生活・なりわいの再建は急務だ。その一助に“復興の花”としてアンスリウムの栽培を役立てられれば」と思いを託す。
同町でのアンスリウムの栽培は、復興支援として近畿大学(大阪府)と協力し、古着の繊維をリサイクルしたスポンジ状のポリエステルを培地に使う工夫も。谷口さんは「今後もアンスリウムの魅力を発信し続けたい」と力を込める。(おわり)










