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【主張】児童虐待 しつけと体罰の違い、広く周知を
体罰はいかなる場合も許されない。これは、家庭にあっても同じである。
親が子どもに体罰を加えることを禁じる「改正児童虐待防止法」が4月に施行されるのを前に、厚生労働省の有識者会議が、体罰の具体例などを示した指針をまとめた。
大きな特徴は、しつけと体罰の違いを明確に位置付け、しつけのためであっても、体に何らかの苦痛や不快感を引き起こす行為は「どんなに軽いものでも体罰」と明記した点だ。具体例として▽言うことを聞かないので頬をたたく▽友達を殴ってけがをさせたので同じように子どもを殴る――などを挙げている。
児童虐待の中には、親が体罰を“しつけ”と称して児童相談所(児相)の介入を拒むケースが少なくない。児相が手をこまねいている間に、子どもの命が奪われるケースもあった。それだけに、指針が「体罰はしつけではない」と明示したことは重要だ。
保護者や関係機関への周知を急ぎ、虐待の防止や早期発見につなげたい。
また、子どもに思わず手を上げたり、大声で怒鳴ってしまう自分に対し罪悪感を覚える親もいよう。この点、全国に約1700カ所ある子育て世代包括支援センターの役割は重要だ。特に、電話やSNSなどによる相談体制を一段と強化する必要がある。
たたいたり怒鳴ったりせずに自分の意思を子どもに伝えるための、しつけ講座を実施している東京都江東区のような例もある。こうした自治体の工夫を共有することも忘れてはなるまい。
今回の法改正と指針を、しつけを理由にした体罰への容認感情が根強い国民意識を変える契機にもすべきではないか。民間の調査では、しつけとしての体罰を容認するとの答えが6割に上っている。
スウェーデンは、1979年に世界で初めて体罰禁止を法制化した。その結果、体罰をしたことがある親は60年代に9割を超えたが、2018年は2%にとどまっている。法整備と広報キャンペーンの成果とされている。
日本でも、体罰を伴わないしつけが広く浸透するには時間がかかるであろう。国や自治体には息の長い啓発活動を求めたい。









