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新型肺炎巡る風評・偏見
帰国者や医師らにいじめ
ネット上に根拠ない予防法
菅官房長官(中央)に第2次緊急提言を手渡す斉藤幹事長(左隣)ら=2月27日 首相官邸
新型コロナウイルスによる感染者の拡大を巡り、中国から帰国した人やクルーズ船の元乗客、さらにその手当てに当たった医療従事者らに対し、いじめや人権侵害に当たるような言動が各地で報告されている。
「当事者たちからは悲鳴に近い悲しい報告が寄せられ、看過できない」「もはや人権問題ととらえるべき事態であり、強く抗議する」――。日本災害医学会は2月22日、感染症に対応した医療関係者が職場でいじめられたり、その子どもが保育園や幼稚園に通うのを自粛するよう求められたりする事態が起きているとして、抗議声明を発表した。
同会の会員を含む医師や看護師らは、政府によるチャーター便で中国から帰国した人や、集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客・乗員に対して医療相談や搬送、治療などに当たっていた。しかし職場に復帰すると「バイ菌」扱いされたり、上司から感染者の治療に当たったことについて謝罪を求められたりした。このため同会の声明ではそのような行為を戒め、改善を求めた。
各地の学校でも新型コロナウイルスの感染拡大を巡るいじめが発生している。こうした問題を受け、文部科学省は「いじめや偏見は決して許されることではない」などとする萩生田光一文科相のメッセージをホームページに掲載。児童・生徒の人権に配慮し、転入学は柔軟に対応するよう通知を出した。
一方、飲食店などでは「中国人の入店を断る」との張り紙をした店舗もある。
公明が政府に防止策を提言
公明党はこうした事態を重く見て、党新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長=斉藤鉄夫幹事長)が2月27日、チャーター機およびクルーズ船で、検疫や医療などに当たった関係者と、その家族の人権を、全ての政策を総動員して守り抜くよう求める政府への第2次緊急提言を菅義偉官房長官に手渡した。
学校現場などでは、児童・生徒間のいじめや偏見が生じないよう、感染症に対する正しい知識と理解についての指導を要請するとともに、求めに応じてスクールカウンセラーの派遣を支援するなど、心のケアに万全を期すことのできる体制を整えるよう訴えた。
偽情報で一部商品に品切れ
トイレットペーパーが品薄になったドラッグストア=2月29日 仙台市
国民の不安が高まる中、スーパーやドラッグストアでトイレットペーパーやティッシュペーパーが品切れになる店舗が相次いでいる。
インターネット上では2月下旬頃から「マスクと同じ原料」「中国から輸入できなくなる」などの誤った情報が出回り、これによる品薄情報がインターネット交流サイト(SNS)などで拡散して拍車が掛かっている。政府やメーカー、スーパーなどは、在庫が十分あるとして冷静な対応を呼び掛けている。
また、「ウイルスは26~27度で死滅するため、防ぐにはお湯を飲んでください」「高熱がある場合は、身体を温めて、生姜スープを飲めば良いです」といったデマ情報が無料通信アプリやツイッターなどで拡散している。
SNSやメールが媒介するデマは、社会が不安を抱えた時期に拡散しやすい。冷静な対応に努めなければ、社会の混乱につながりかねない。
WHO(世界保健機関)は2月、ウイルスの感染や対策についての間違った情報やうわさが広がっているとして注意を発表。担当者は会見で「虚偽の情報の拡散は新たな病気が見つかった際にこれまでも起きていたが、最近では、ネットを通じて世界のあらゆるところに届く」と述べた。
WHOは、今回の新型コロナウイルスの感染拡大は世界的な大流行を意味する「パンデミック」には当たらないとしている。しかし、根拠のない情報が大量に拡散するという意味の「インフォデミック」が起きているとし、正しい知識を持って、適切な対策を行うよう呼び掛けている。
3日の参院予算委員会では、公明党の西田実仁参院幹事長が安倍晋三首相に対して、正確な情報発信の強化を訴えた。









