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【主張】聴覚障がいと津波警報 海辺では旗に統一。普及急げ
この夏に間に合うよう準備を急ぎたい。
気象庁の検討会は、海水浴場などにいる聴覚障がい者に津波警報を伝える手段として、「赤と白の格子模様の旗」を使うことが望ましいとする提言をまとめた。
これを受けて同庁は6月をめどに省令を改正し、全国の自治体に導入を促す方針だ。
一部の自治体では、海岸で警備員らが旗を振って警報を知らせているが、色やデザインに違いがある。このため公明党は、津波警報の視覚的な伝達方法を統一するよう気象庁に求めてきた。
提言で示された赤と白の格子模様は、見やすさの点で優れているとされ、海からの緊急避難を呼び掛けるものとして国際的にも認知されており、妥当と言えよう。
津波警報の伝達方法については、気象業務法施行規則に「鐘音又はサイレン音による」と定められている。しかし、視覚に訴える手段に具体的な規定がないことから、聴覚障がい者が逃げ遅れる懸念があった。
NHKの調査では、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県における聴覚障がい者の死亡率は、住民全体の2倍近くに上った。
一刻も早い避難を要する災害発生時に、聴覚障がい者をどう守るかは重要な課題だ。国や自治体は、関係団体とも連携しながら旗の普及に努めてほしい。
忘れてならないのは、ライフセーバーなど、津波警報が発令された時に旗を振る人の安全策だ。東日本大震災では、海岸近くの防災対策庁舎で最後まで避難するようアナウンスしていた自治体職員が犠牲となった。
こうした教訓も踏まえ、仙台市では昨年、ドローン(小型無人機)2機を使い音声によって避難誘導する実証実験が行われた。ドローンの活用については、警報を知らせる旗を取り付けて飛ばすなどの工夫も考えられよう。人手によらない対策に知恵を絞りたい。
全国には、複数の自治体にわたって浜辺が続いているところもある。対応に差が生じないようにすべきであり、公明党の議員ネットワークを生かしたい。