ニュース
“読者の質問にお答えします” 副首都創設法ってどうなの?
首都中枢機能の代替と言いつつ…、「大阪ありき」疑念拭えず
参院議員 司隆史氏
17日に発足した第2次高市改造内閣で「大阪都」や「副首都」構想を掲げる日本維新の会が「閣内協力」に転じたことで、構想への懸念を置き去りにした議論が加速するのではないかとの見方が広がっています。先の特別国会では、議論も十分に尽くされないまま、会期末ギリギリの7月に半ば強引に副首都創設法(議員立法)を成立させました。同法の国会審議に携わった公明党の司隆史氏に、改めて問題点などを聞きました。
■指定手続きが極めて不透明
Q 「副首都」創設法の目的は。
◆主に二つです。一つは、東京が首都直下地震や富士山噴火など大規模災害に見舞われた際に、立法や行政といった首都中枢機能を維持するためのバックアップ体制の整備です。もう一つは、人口・経済の東京への一極集中の是正です。今後、定める政令や基本方針に基づき、申し出のあった道府県から首相が副首都に指定します。
Q そう聞くと大事な課題のようだが。
◆公明党は首都被災に備えたバックアップ体制や、多極分散型経済圏の形成といった政策議論に反対しているわけではありません。ただし、これは日本の経済・社会の構造を変える大改革であることから、慎重に丁寧な議論を行い、本来なら閣法として出すべきものです。
ところが、副首都法は議員立法で拙速に提出されただけに、国会審議でも議論が深まるどころか、未熟な制度設計が次々と露呈。結局、維新肝いりの「大阪都」構想との連動を念頭に、副首都指定が「大阪ありき」との疑念が払拭できませんでした。
Q どんな点が問題か。
◆まず副首都指定の手続きが極めて不透明な点です。副首都法では、指定要件や基本方針は政府が定めるとしており、国会の関与が極めて限定的となります。加えて、副首都が担う機能などを定める基本方針が策定される前に、副首都を自治体の「手挙げ方式」で指定できる仕組みになっています。これは明らかに順番が逆です。
第二に副首都整備に必要な財政負担が全く示されていないことです。副首都に指定されれば、国の機関などの拠点やインフラ整備など多額の負担が見込まれます。にもかかわらず、与党の法律提出者は「現時点で試算を示すことは困難」と無責任な答弁に終始しました。
Q ほかには。
◆「都」への名称変更は特別区を包括する副首都に限定している点です。参院特別委員会での参考人質疑で識者は「副首都と自治体名称の変更は別問題」と批判しました。また甚大な被害が想定される南海トラフ地震が要件に含まれていないことや、複数の副首都が指定された場合、副首都間の機能分担なども不明確で問題は尽きません。
■”住民投票と選挙の同時実施は問題?” 有権者判断に混乱生む
野党要求で付帯決議、重複回避へ「最大限調整」
Q 野党が特別区設置の住民投票と地方選の同時実施を禁止しようとした理由は。
◆有権者が混乱しかねないからです。そもそも制度を問う住民投票と、人を選ぶ選挙では、有権者が判断する基準も、投票の性質も全く異なります。憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法の議論でも、国政選挙と同時実施は避けるべきだとの国会の意思が示されています。
Q 同時実施で生じる問題とは。
◆同時実施の場合、住民投票のテーマと地方選の争点が混在し、有権者が冷静に判断できない恐れがあります。公職選挙法の規定や立候補の状況によって、選挙に候補者を立てていない一般の政治団体や市民グループによる住民投票運動が制限・萎縮する可能性もあります。
さらに、住民投票運動は投開票日までできることから、地方選への影響は避けられないとの懸念もあります。
このため公明党は国民民主党と共同で、同時実施禁止法案を参院に提出しました。法案は否決されましたが、野党の強い要求で、付帯決議に住民投票と地方選などの選挙期間が「重複しないように最大限調整する」ことが盛り込まれました。
Q 副首都法成立後、維新の吉村洋文代表(大阪府知事)が同時実施をめざすと発言したが。
◆付帯決議は与党も賛成した国会の意思であり、国会軽視の発言だと言わざるを得ません。断じて破らせない民意を醸成する必要があります。
公明党は副首都法について、あらゆる機会を通じて制度の問題を厳しくただし、首都機能のバックアップをどう整備するのかといった本来のあるべき議論を進めていきます。









