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子どもの心の傷癒やしたい
「児童思春期病棟」の試み
高瀬氏ら先進的な病院を視察
福岡・久留米市
親による虐待などを背景にした自傷行為や摂食障害――。傷ついた心の治療が必要な子どもが入院する専門の「児童思春期病棟」を備えた精神科病院「のぞえの丘病院」が昨年10月、福岡県久留米市に開設された。病院は医療法人「コミュノテ 風と虹」が運営し、同病棟の設置は同県で初めて。公明党の高瀬弘美参院議員は先ごろ、吉田宣弘県議や党久留米市議団と共に同病院を視察し、青木和茂事務長らと意見交換した。
4月から学校棟での義務教育めざす
豊かな自然に囲まれた「のぞえの丘病院」は、まるでリゾート地の宿泊施設を思わせる。院内は木目を基調としてぬくもりに満ち、至る所に観葉植物や絵画の装飾が。ガラス窓から自然光を取り込んだレストランにはテラス席やカウンター席を備え、リハビリに使える体育館は開放的な空間を演出している。
このほか、中庭のグラウンドや小さな図書館などに同病院の“健やかさを育む環境を用意することが子どものケアの第一歩”とする理念が随所に反映されている。
児童思春期病棟(45床)は、児童相談所を通じて入院してきた患者(6~19歳)などで既に満床状態。そのため、病状などを丁寧に見極めた上で13人の子どもが現在、成人も受け入れる急性期治療病棟(30床)に入院しているという。
児童思春期病棟では、子どもの症状に詳しい精神科医や心理士らが時間をかけて心のケアを行い、作業療法や運動療法などに加え、言葉で自分について語るホームルームなどを実施。
さらに、院内に学校棟も設けており、今年4月からの小中学校の義務教育実施をめざし、市教育委員会と調整を進める。一方、退院後に自宅で子どもの症状が再発しないよう、保護者向けのペアレントトレーニングや家族会を定期開催するなど、親の支援にも取り組んでいる。
意見交換の席上、青木事務長は「安心できる生活の中で人との関わり合いを学び、同年代の子やスタッフと信頼関係を築いていくことが、心の傷を癒やすことにつながる」と述べた。その上で、投薬のみに頼るのではなく、子ども一人一人に寄り添った地道な治療の必要性を強調していた。
とはいえ、こうした児童思春期病棟は、「最低でも各県に1カ所は必要とされているが、人手がかかり、子どもを診断できる専門医も少ないことなどから、公立でも開設に踏み切る病院が少ない」(青木事務長)のが実態だ。
視察を終えた高瀬氏は、「子どもの心のケアが急務となっている中、児童思春期病棟は地域に