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【主張】新型肺炎で党提言 感染の拡大防止を最優先に
一刻の猶予も許されないとの強い姿勢で取り組んでもらいたい。中国湖北省武漢市で発生し、感染を広げる新型肺炎について、公明党の対策本部は6日、安倍晋三首相に緊急提言を手渡した。
中国を中心に感染者の拡大に歯止めがかからず、世界保健機関(WHO)も「いまだ激しい流行のさなかにある」と警鐘を鳴らしており、国民の不安も増すばかりだ。
このため提言では▽検査・治療体制の整備などによる感染拡大防止▽国民や自治体への的確な情報提供の強化▽観光業をはじめ産業への影響把握と支援――などを柱に迅速な対応を政府に求めている。
何より優先すべきは、「感染の拡大防止と早期の収束」(山口那津男代表)にほかならない。この点について今回の提言では、治療薬の開発に加え、特に地方における検査体制の整備を国がサポートするよう求めている。
現在、感染が疑われる人は最寄りの保健所などの「帰国者・接触者相談センター」に相談し、感染の可能性が高いと判断されると「帰国者・接触者外来」を設置している医療機関を紹介される。
ただ、自治体からは人員や機材などの整備がまだ不十分との声が挙がっており、国が支援する必要がある。
検査時間の短縮も欠かせない。現在の検査について、国立感染症研究所などは、より短時間で感染の有無を判断できる検査キットの開発に着手している。開発の促進はもちろん、承認手続きの短縮も含めて国の積極的な対応を求めたい。
経済への影響にも目を向けねばならない。とりわけ訪日客の3割を占める中国人旅行者の激減は観光業に大きな打撃を与え、中国に工場や店舗を持つ企業もダメージを受けている。損害の実態を正確に把握し、緊急融資といった支援策を検討してほしい。
党の提言に対して首相は「やるべきことは、ちゅうちょせず決断、実行する」と応じた。7日には、政府としての緊急対策を来週にもまとめ、予備費も活用して実行していく考えを示した。
今回のような前例のない事態には、機敏な連携と対応が重要であることを強調しておきたい。