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【主張】長期金利の上昇 政府の財政運営に市場が懸念
長期金利の急上昇には、政府の財政運営に対する市場の懸念が表れている。政府は市場の警鐘と重く受け止め、信認を得られる財政運営を行うべきだ。
9日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、2.900%に上昇し、約30年ぶりの高水準に達した。
イラン情勢の緊迫化を受けた原油相場の上昇で日本のインフレ懸念が高まり、国債が売られたことが要因として指摘されているが、これに加え、高市政権が掲げる積極財政を巡り、財源が不明確で国の財政が悪化するのではないかとの懸念も金利上昇を招いている。
市場の懸念に拍車を掛けたのが、政府が6月末に公表した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案だ。「強い経済」の実現に向け日銀による「適切な金融政策運営が行われることも非常に重要である」と明記し、市場では「利上げに対する政府のけん制」との見方が浮上。インフレへの警戒感が高まった。
政府は市場の反応を受けて、骨太の記述を修正する方向で調整しているが、文言の手直しだけでは懸念の払拭には不十分だ。持続可能な財政運営の道筋が見えないままでは、市場の警戒は解けまい。
財政運営の目標に関して政府は、これまでの単年度の基礎的財政収支の黒字化を重視する方針を転換し、新たに国・地方の総債務残高のGDP(国内総生産)に対する比率の安定的な低下を中核目標に据えた。
しかし、この比率をいつまでに、どの程度引き下げるのかは明確にはなっていない。政府は、新たな目標によって財政の持続可能性を実現すると説明しているが、市場の信認を得るためには、より具体的に示す必要があろう。
長期金利が上昇すれば、住宅ローンや奨学金の金利が上がり、住宅購入者や若い世代の返済負担が増す。企業の長期借り入れの利払いも増え、設備投資の抑制などにつながる可能性がある。政府は責任を持って市場の懸念に応えるべきだ。









