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2026年7月8日

(ニュースの焦点を聞く)中東情勢に伴う物価高

今秋まで続くのは確実 
電気・ガス代など値上げこれから 
一律の“補助金頼み”から的を絞った支援に転換を 

米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名した後も攻撃の応酬が続くなど、いまだ事態の沈静化は見通せない中東情勢。今後の原油供給や経済、家計への影響、必要な対策について、エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表取締役に聞いた。

エネルギー経済社会研究所 松尾豪代表取締役

――覚書の受け止めと原油価格の見通しは。

松尾豪・エネルギー経済社会研究所代表取締役

覚書締結により、60日間は無償でホルムズ海峡を通航できるようになったが、いまだ米イランの報復の応酬もあり情勢は極めて不透明だ。海峡の治安が回復したと言える状況にはない。

戦闘時に比べ下落傾向にある原油価格の要因は、①海峡の通航②米国の戦略石油備蓄の取り崩しによる輸出増③中国の輸入制限――という「三つの条件」がそろった一時的なものにすぎない。

特に原油の代替調達先として米国産への依存を強める日本は、注意が必要だ。米国の戦略石油備蓄は1983年以来の低水準で、輸出継続は困難な状況になりつつあり、輸出を抑えれば、日本への影響は避けられない。また、輸入を半減させている中国がホルムズ海峡経由で調達を再開すれば需給は一気に逼迫し、価格は再び上昇へ転じる。

――物価高は続くか。

松尾 そもそもミサイル攻撃を受けた関連施設などの復旧には5年ほどかかる見通しだ。また足元の原油やナフサ高騰には、戦闘中だった情勢の影響が遅れて価格に反映されるため、少なくとも秋ごろまで物価高が続くことは間違いない。

電気・ガス料金については9月の価格改定時、イラン情勢が緊迫した4~6月期の原油価格がベースとなって反映される仕組みで、LNG(液化天然ガス)や石炭の価格上昇も懸念される。このほか、日常生活に欠かせない石油由来のあらゆる品目が値上がりし、日本全体でのインフレを家庭で実感せざるを得ない状況が続くだろう。

企業では「価格転嫁」が最大の課題だ。調達価格の負担増に加え、燃油価格の上昇分を運賃に反映する「燃油サーチャージ」の引き上げ分などを売値に反映しきれていないのが実態だ。企業の価格転嫁は欠かせないが、それに伴う家計の負担増は避けられない。

■公明主張の給付は財政面でも合理的

――政府のガソリン補助金などの対応は。

松尾 補助によって日本のガソリン価格が産油国の米国より安い現状だが、一律の補助金支給を続けていくとすれば厳しく物申す必要がある。早期に適正価格へ移行させる出口戦略が不可欠だ。

今後は、一律の価格補助ではなく、的を絞った支援へ政策を転換すべきだ。その意味では、公明党が主張する困窮・子育て世帯への「給付」は理にかなっており、財政面からも合理的だと言える。

――中長期の課題は。

松尾 調達先の多角化に向け「脱ホルムズ」を着実に進めると同時に、エネルギー自給率の向上や省エネの徹底に本腰を入れる必要がある。また、わが国のエネルギー安全保障の観点から、アジア全体で共同備蓄などをめざす枠組みの推進が極めて重要だ。国内の製油所を近隣諸国と共同利用して、地域全体で安定供給を図る体制の構築が前進することを期待する。

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