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デジタル教科書、改正法成立
堀田龍也・東京学芸大学教授に聞く
タブレットなどの端末で閲覧・操作ができるデジタル教科書を正式な教科書と位置付ける改正学校教育法が6月10日に成立した。文章の読み上げやズーム機能を備え、多様な児童生徒の学びをサポートする同教科書を導入する意義や今後の課題について、東京学芸大学副学長の堀田龍也教授に話を聞いた。
■個人に合わせ理解深く
「学力高まる」との調査結果も
――法改正で教育環境はどう変わるのか。
紙の教科書だけでは理解しにくい子どもたちもいる中で、デジタル教科書は数学なら図形を実際に動かしてイメージしやすくしたり、社会科では動画で農家の苦労話に触れリアリティーを持たせたりできる。一人一人が自分のペースや「困り感」に合わせて必要な情報を得られ、学びやすくなる。紙と同様に無償配布されるのも、子どもたちや自治体には朗報だ。
教員は今後、子どもたちが自分で困っていることを探しながら学ぶことを許す時間を取り入れるなど、授業の作り方に工夫が必要になる。
――学力低下や健康被害を懸念する声がある。
文部科学省が毎年実施している小中学生の全国学力・学習状況調査では、情報通信技術(ICT)を活用しているクラスほど、どの教科でも学力が高い傾向にある。子どもたちに付与されている1人1台端末で、クラウド上の自分に合った難易度の問題に取り組んだり、復習で動画にアクセスしたりするなど、自分のペースで学べるようになれば学力は高まる。
健康面では視力低下への意見があるが、目が悪くなるほど教科書を見るとは思えない。健康面は大事だからこそ、自宅でのスマートフォンやゲームの長時間使用を検討する必要があるのではないか。
■「体験を膨らます」役割担う
――デジタル化が進む中で自然体験の重要性は。
子どもの学びにとって体験が重要なことは自明であり、デジタルも体験も共に大事だ。その上でデジタルは、自然の中で撮ってきた写真を調べ、リポートにまとめて発表ができるなど、紙以上に理解につなげる補助となる。体験を膨らませるデジタルがあると思うし、あるべきだとも思う。
■各自治体、通信環境整備が急務
――今後の課題は。
教科書を採択する自治体がデジタルの良さや強みをちゃんと理解していないと、紙の教科書だけを選ぶかもしれない。バランスを欠かないことが重要だ。
また、学校のネットワークは複数の学年・クラスの児童生徒が同時に端末で使用できる容量と速さが必要だが、市町村による情報化の取り組みの温度差によって地域格差がある。速くても、周辺に居住者が多い都会ではうまくいかないこともある。教育委員会が各教室の通信速度をしっかりとチェックするべきだ。
――他に地方議会で取り組むべきことは。
文科省の調査によると9割の小中学校で毎日端末が活用されているが、児童生徒と教員が適切な量を使っているか確認することが重要だ。情報技術を適切に活用して勉強に役立てる「情報活用能力」を子どもが身に付けなければ、デジタル教科書の良さが生きないからだ。
2030年度からデジタル教科書が導入され、デジタルインフラを前提にした学びが本格的になる。全国津々浦々にいる公明党の地方議員には、ぜひ行政に「先回りして整備しているのか」と聞いてもらいたい。










