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2026年6月30日

コラム「北斗七星」

周りの人に振り回されストレスで感情が揺らいでしまう。もっと強くなれないのか。自分の心を支える柱がほしい。若い頃いつもそう願っていた◆心の柱と書く「心柱」。建物の中央部に配置される柱で主に日本の木造建築、特に多層の塔に使用されてきた。中でも奈良県の法隆寺五重塔には長さ30メートルを超える巨大な心柱があり、多くの地震に1300年以上耐えてきた実績がある◆塔が一方向に揺れると心柱が相対的に逆方向へと動き、揺れを打ち消す。この仕組みによって歴史上、地震で倒壊した多重塔はほとんどないのだとか。東京スカイツリーもこれに似た構造を持っていることは広く知られている◆その揺れを抑える仕組みは「質量付加機構」と言い、この仕組みを用いた地震対策を「心柱制振」と呼ぶ。『サイエンス日本史 時代を動かした「科学の力」』(左巻健男著、集英社新書)によれば、いにしえの宮大工たちが生んだ五重塔の心柱の精神に敬意を表してそう名付けられたという◆古代の高層建築に使われた心柱の精神を1000年以上の時を経て最新の現代建築へと受け継いだ「心柱制振」。“偉大な精神”は人の心に柱として宿り、人が体現してこそ不滅の真価を発揮する。(佳)

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