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2026年6月16日

コラム「北斗七星」

日本出身でアメリカ市民となった先輩と今月都内で語り合った。「トランプ政権が掲げる『力による平和』は疑問に思う」と投げかけると、先輩はトランプ支持者で議論は平行線に終わった◆米国の著名な政治学者ジョセフ・ナイ氏は、他者を動かす力には「強制(こん棒)」と「報酬(ニンジン)」、そして「魅力や説得」の三つがあるとし、こん棒とニンジンを「ハードパワー」、魅力や説得を「ソフトパワー」と呼んだ(村井浩紀訳『アメリカの世紀は終わらない』)◆ハードパワーを重視するトランプ氏は、年頭からベネズエラを急襲し、2月末にイスラエルと共にイラン攻撃を始めた◆ナイ氏は昨年5月に死去する直前の遺稿で、「ソフトパワーが外交政策に何らかの価値があるとの考え方そのものを否定した大統領は、ドナルド・トランプ氏が初めてである」と憂えていた(昨年6月6日付「読売」)◆気候変動、感染症の流行、テロ、サイバー犯罪などの問題群は、複数の国々が協力しなければ立ち向かえない。だからナイ氏は「魅力=ソフトパワー」を重視し、「あなたが温厚で信頼できると思われれば、仲間はあなたの説得に耳を貸し、従うだろう」(同)と言い残した。ソフトパワーで平和を広げたい。(三)

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