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2026年6月5日

コラム「北斗七星」

1字の誤りが思わぬ被害を招く。誤ったメールアドレスで送っても、宛先不明のエラーが表示されず、数年間も個人情報が外部に漏れていた。自治体職員の入力ミスに端を発する、そんなニュースを目にした◆これは「ドッペルゲンガードメイン」と呼ばれている悪質な手口だ。正規のドメインに酷似したドメインを取得し、相手に気付かれないよう情報収集を不正に行うようだ◆「誤植と畳のほこりは、たたけばたたくほど出る」。20代の頃に先輩記者から言われた。最近は、取材先の名刺を見てメールアドレスを入力しても送信エラー。スマホ画面いっぱいに文字を拡大すると、アルファベットのLの小文字「l」を、誤って数字の「1」と入力していた。確認不足と自らの老眼を嘆いた◆人工知能(AI)が瞬時に文字を生成したり、校正したりする時代。それでも人が手動で文字を入力し、その目で確認する場面はまだ多い。新聞制作の現場で嘆いてばかりいられない◆昭和期に出版社で校正の仕事に長年携わった長谷川鑛平氏は、1字ずつ注意深く読んだ後、少しくつろいだ姿勢で文章内容を丹念に読む、と(『本と校正 増補新版』中公文庫)。基本中の基本だが、これが王道。1字と真摯に向き合いたい。(沖)

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