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2026年6月2日

(ニュースの焦点を聞く)NPT再検討会議

成果文書、採択できず、地政学的な対立が影響 
長崎大学核兵器廃絶研究センター 河合公明教授

米ニューヨークの国連本部で4月27日から5月22日まで開かれた核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議は、成果文書を採択できないまま閉幕した。成果文書で合意できなかったのは前々回(2015年)、前回(22年)に続き3回連続。核軍縮の行方などについて、長崎大学核兵器廃絶研究センターの河合公明教授に話を聞いた。

――今回の結果をどう見るか。

今回のNPT再検討会議の議長は、成果文書の草案を4度改訂して合意形成を粘り強く主導したが、最終的には合意に至らなかった。これはイラン核問題を背景とした米国・イスラエルの武力行使や、ロシアのウクライナ侵略といった地政学的な対立が影響したのが大きい。核軍縮に後ろ向きな核兵器国と、核軍縮を求める非核兵器国との間の深い溝も改めて浮き彫りとなった。

ただ「最終文書が採択されなかった」という事実と、「何がどう議論されたか」という事実は、分けて考えるべきだ。

――評価すべき点は。

成果文書の最終案には核軍縮の点で重要な要素が残っていた。一つ目は、過去の会議で合意された核軍縮の約束が引き続き有効であると明記された点。二つ目は、核兵器国が核軍縮の取り組みを報告し、対面で議論する場を持つとされたこと。三つ目は、核兵器禁止条約(TPNW)の再検討会議への言及だ。不採択に終わったが、特に第一の点は、今後の議論で核兵器国に履行を求める重要な参照点となる。

■核不拡散、軍縮の均衡重要

――NPT体制の停滞打破に向けては。

NPTの原点であるグランドバーゲン(核不拡散と核軍縮の均衡)に立ち戻ることだ。核不拡散なくして核軍縮はなく、核軍縮なくして核不拡散体制は持続しない。NPTは誰の安全保障上の懸念に応える制度なのか。国益だけでなく、NPTを支える「共通の利益」を思い起こすべきだ。歴史の教訓に照らせば、相対的に強い立場にある核兵器国が一方的に非核兵器国に不拡散義務の履行を求め続けることは、長期的には体制の求心力を低下させ、自国の利益を損なう結果になりかねない。核兵器国が非核兵器国の安全保障上の懸念を正面から受け止めることは、道義だけでなく、戦略的な合理性がある。

■被害の事実を共有する市民社会の役割大きい

――会議には市民社会の代表も参加した。

核軍縮への向かい風が強い今だからこそ、市民社会の役割は極めて大きい。国家間の議論では、地政学的な対立や安全保障を理由に核依存を強める言説が広まりやすい。市民社会には、核兵器による被害の事実を通してその非人道性を可視化し、その現実から生まれる声を社会で共有する役割がある。

■日本は自ら核依存減らす方向性示せ

――日本は国際社会をどうリードすべきか。

日本政府は会議で、自らを「NPTの守護者」と改めて位置付ける発言をした。守護者には、グランドバーゲンへの回帰をリードする責任がある。グランドバーゲンに不均衡が見られる今こそ、核軍縮に向けた決意と努力を示すべきだ。日本は核兵器の役割の低減に向けた努力として、自ら核依存を減らす方向を示し、各国の信頼を得ていく必要がある。公明党には具体的な政策を示し、推進への旗振り役を担ってもらいたい。

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