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【主張】紛争地の医療施設攻撃 国際人道法の運用改善が重要に
世界各地の武力紛争で医療施設や医療従事者への攻撃が多発している事態を断じて許してはならない。
想起すべきは、国連安全保障理事会(安保理)がちょうど10年前の5月に採択した決議2286号だ。日本も共同提案国となったこの決議は、武力紛争で医療施設や医療従事者が攻撃されている実態の把握を求め、加害者を不処罰のままにはさせないと強調した。
にもかかわらず、医療施設や医療従事者への攻撃が後を絶たない。世界保健機関(WHO)と赤十字国際委員会(ICRC)、国境なき医師団(MSF)の3団体は5月4日、共同声明を出し「安保理決議2286号が採択されて以降、状況は悪化の一途をたどる失敗の10年だった」と失望感をあらわにし、同決議の履行をあらためて要請した。
WHOの「保健医療に対する攻撃監視システム」(SSA)は先週も、イスラエルが爆撃を繰り返すレバノンとパレスチナ自治区ガザ地区のほか、ロシアが侵略しているウクライナなどで医療施設や医療従事者への攻撃を確認している。今年に入ってから5月末までで医療施設と医療従事者への攻撃は631件に上り、437人もの医療従事者が殺害された。WHOとICRC、MSFも攻撃され、職員が死傷している。
この事態を招いている背景に、紛争当事者が国際人道法の規定を悪用していることがある。武力紛争時に適用される国際人道法は医療施設と医療従事者の保護を求める一方、「有害な行為」を働いている場合は攻撃を許容している。そのため、「病院が敵の軍事拠点になっている」などと主張し攻撃しているのだ。
そうした主張が虚偽であった事例も多い。有害な行為を理由に医療施設や医療従事者を攻撃する前に、紛争当事者はその根拠を示して説明責任を果たし、第三者が検証できるようにすべきだ。このような国際人道法の運用改善に向けた指針作りなどを進め、医療施設や医療従事者が攻撃されない国際秩序の構築に日本は主体的に貢献すべきだ。









