ニュース
【主張】東日本大震災15年 経験と教訓の伝承、確かなものに
自然災害は防ぐことができないが、経験と教訓を学び、生かすことで被害は減らすことができる。あす11日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から15年を迎える。あの日、失われた命に思いをいたすとともに、記憶を風化させぬ決意を新たにしたい。
未曽有の被害を後世へ伝えるために、語り部や伝承施設が果たす役割は重い。しかし、高齢化などで活動の持続が懸念されている。
先日、公表された共同通信社の調査で東日本大震災の伝承活動に取り組む4県101施設・団体の8割が活動の将来に不安を感じていることが判明した。理由は「語り部・ガイドの確保」「運営資金」などだ。
伝承者の確保・育成の好事例として、宮城県気仙沼市の東日本大震災遺構・伝承館の「みんな語り部」を挙げたい。これは、地元の中高生らが震災の教訓を伝えるもので、きょうとあすも現地で行われる。
震災の体験や記憶がない生徒たちが家族や地域の人から震災体験を聞き取り、津波の脅威と避難の大切さを自分の言葉で話す。若い世代の防災教育や地域コミュニティー強化にもなる。
また、同県石巻市で児童・教職員84人が犠牲となった大川小学校では、東北大学の学生ボランティアが遺族から学び、当時の事実に自身の感情を重ねて現地をガイドしている。「体験がない分、学びを深め、伝え方の工夫で補っている」という。当事者ではない若者による震災の伝承活動を広げていく必要がある。
一方、被災自治体では、職員として当時を知らない世代が約半数に上る。災害対応の最前線を担う自治体職員にとって経験と教訓の共有は重要だ。仙台市では職員有志による「チーム仙台」が、発災後の対応に当たった職員から当時の業務や悩みを聞き取り、「自分ごと」として疑似体験、継承する取り組みを進める。
各地の伝承活動が安定して継続できるよう、国は支援を一層強化していくべきである。官民で力を合わせ、3.11の経験と教訓の伝承を確かなものにしたい。









