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深刻化する若者のSNS依存
6%が「病的使用の疑い」
家族への暴力、ひきこもり誘発も
久里浜医療センターの報告書から
スマートフォン(スマホ)の普及に伴い、LINEやユーチューブ、X(旧ツイッター)といったSNSを過剰に使用し、日常生活に支障を来す「SNS依存」が、特に若年層で危惧されるようになっている。国立病院機構久里浜医療センターは先月、SNS利用で依存性が高い「病的使用」が疑われる人の割合が10~20歳代で6%に上ったとの調査報告書を公表した。人口に換算すると約140万人規模となる。SNS依存の背景や報告書のポイントとともに、各国の対策の動向を解説する。
こども家庭庁によると、スマホでインターネットを利用する子どもの割合は2025年度、小学生で66.5%、中学生で90.4%、高校生で97.9%(いずれも速報値)に上った。特に小中学生はここ5年間で10ポイントほど増加。小学生の7割超が自分専用のスマホを持つなど、ネット利用の「低年齢化」が進んでいる。
特徴的なのが、主な使い道としてSNSなどによる「コミュニケーション」が目立つことだ。中高生では最多を占め、小学生では「動画視聴」に続き2番目に多く挙がった。
これに合わせて、ネットの利用が長時間に及ぶ傾向も年々強まっている。平日1日当たりの平均利用時間は小学生で3時間54分(前年度比10分増)、中学生で5時間24分(同22分増)、高校生で6時間44分(同25分増)に達した。
一方、長時間にわたりSNSを利用することについては、依存性を高めるといったリスクも懸念されている。そうしたSNS依存の実態を浮き彫りにしたのが、久里浜医療センターによる今回の報告書だ。
同センターの調査は、全国の10~80歳の男女9000人を対象に昨年1~2月に実施し、5割以上の人から回答を得た。
注目したいのが、依存性が高い「病的使用」に関する調査だ。SNS依存には正式な診断名がないため、依存性を測る海外の検査を参考に、過去1年間におけるSNSの利用を巡って「使えない時に気分が悪くなった」「嫌な気持ちから逃れるために使っていた」など九つの質問を設け、五つ以上当てはまる場合に「病的使用が疑われる」と判断した。
調査結果を見ると、SNSの病的使用が疑われる人は10歳代で男性7.1%、女性7.5%、20歳代で男性4.8%、女性5%に上った。30歳代以上の各年代が0~1%台にとどまる中、若年層の深刻さは際立っており、対策強化が急がれる。
同センターの調査ではこのほか、SNSの病的使用と家族内のトラブルや、ひきこもりとの関連性にも着目。病的使用が疑われる人ほど、「家族に暴言を吐いたり、暴力を振るったりした」「6カ月以上続けて自宅に引きこもっていた」との回答が多かった。
同センターは、若年層でSNS依存が深刻化しつつあることなどを踏まえ「ライフステージに応じた適切な利用指導や、学校・家庭・地域が連携した予防的介入を推進することが重要」と指摘している。
■規制巡り各国で議論進む
子どもは脳が未成熟で、心身ともに多くの変化を経験する。このため過剰なSNSの利用は、うつ病や摂食障害につながりやすいと報告されている。また、いじめや犯罪に巻き込まれる事例も後を絶たない。そうしたリスクから子どもをどう守るのか、国内外で試行錯誤が続く。
オーストラリアでは昨年12月、国家レベルで子どものSNS利用を制限する法律が世界で初めて施行された。この法律は子どもや保護者への罰則はなく、SNSの運営事業者に対し16歳未満のアカウントの開設・保有を防ぐ措置を求めている。違反した場合には日本円で最大50億円程度の罰金が科されるが、年齢を正確に確認できるのかという課題がある。
欧米やアジアでもSNS利用の規制に向けた議論が進む一方、表現の自由や情報へのアクセスを不当に制限するべきではないとの批判も出ている。
日本では昨年9月、スマホの利用を1日2時間以内とする条例が愛知県豊明市で成立。罰則はなく、睡眠や家庭内のコミュニケーションの時間確保が目的だという。また、こども家庭庁は今年1月に作業部会を設置し、SNS規制の必要性などについて議論を重ねている。
このほか、子どものリテラシー(正しく利用する能力)の向上や、SNS依存に苦しむ人やその家族への支援も重要であり、社会全体で議論が進むことが期待される。










