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コラム「北斗七星」
「防疫態勢 ペスト並み」。そう聞いて、医師ベルナール・リウーの独白を思い出した。文豪カミュの『ペスト』(創元文庫)に登場する人物である◆北アフリカの要港で発生したペスト禍。ウイルスの宿主はネズミ。リウーは役人らと町を封鎖し、10カ月間かけ撲滅に成功した。ところが「いつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストがふたたびその鼠どもを呼びさます」。歓喜する群衆を眺めながらリウーは言うのだ◆中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が続いている。中国のほぼ全土で感染者が発生し、死亡者は80人に(26日)。加えてアジア、欧米、豪州にも飛び火。中国政府は27日から海外への団体旅行を中止すると発表した◆それにしても、なぜウイルス感染症による災禍が繰り返されるのか。人間に不幸と教訓をもたらすため? 「私たちの生活・生き方、日常活動と関係している」。西條政幸氏は『グローバル時代のウイルス感染症』(日本医事新報社)で指摘する◆ちなみに、重症急性呼吸器症候群(SARS)では8098人が罹患。中東呼吸器症候群(MERS)は致死率が35.5%に。いずれも新種のコロナウイルスによるが、今回は別の型だ。感染拡大防止に協力すべきと山口代表。「戦う唯一の方法は、誠実さということ」。カミュの結論である。(田)









