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2020年1月24日

【主張】和牛の遺伝資源 国外流出を防ぐ手だて急げ

優れた肉質が世界的に評価されている和牛。その遺伝資源(精液と受精卵)は「日本の宝」であり、適切に活用されるための制度が不可欠だ。

農林水産省の有識者会議が20日、和牛など家畜の遺伝資源を「知的財産」として保護し、悪質な取引に刑事罰を設けることを柱とする中間報告をまとめた。今国会に関連法案が提出される見通しだ。

和牛は海外でも非常に人気が高く、特に「松阪牛」などのブランド牛は高値で取引されている。日本の畜産関係者が長年にわたり多大な労力を投じて改良を繰り返してきた成果であり、その価値の核を成す遺伝資源はまさに知的財産と言えよう。

しかし、ひとたび国外に流出すれば、和牛に近い肉質の牛が無制限に広がりブランド価値が下がってしまう。加えて、畜産物全体の輸出額の約5割を和牛が占めており、影響の大きさは計り知れない。

2018年には、和牛の精液や受精卵が中国へ不正輸出される事件が発生した。中国当局が拒否したことで被害を防ぐことができたが、国外への持ち出しを直接取り締まる法律はいまだ存在せず、このままでは懸念が現実になりかねない。

今回の中間報告は、こうした危機感の高まりを受けたもので、遺伝資源の不正な使用や輸出に対する差し止め請求権の設定など民事上の措置に加え、悪質な行為への刑事罰の適用にも踏み込んだ。不正行為を厳しく取り締まる姿勢を示すことは、国外流出を抑止する手だてとして高い効果が期待できよう。

ただ、こういった規制は、あくまでも万一の事態に備えたものだ。重要なのは、遺伝資源の流出を未然に防ぐ取り組みの強化にほかならない。

まず、取引する当事者間の契約による保護を徹底する必要がある。生産現場では口頭による売買契約も多い。国や自治体には、書面で利用条件を定める契約慣行の普及に力を注いでもらいたい。

農水省は、遺伝資源の売買について帳簿への記録を義務付けるなど流通管理を厳格化する法改正の準備も進めている。和牛の遺伝資源を守るため、現場の負担にも配慮しながら、実効性ある仕組みの構築を急ぐべきである。

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