ニュース
【主張】温室ガス削減へ新戦略 技術革新で日本は世界に貢献を
深刻化する気候変動問題に立ち向かうには、温室効果ガスを着実に減らすための大胆なイノベーション(技術革新)が不可欠である。
政府は21日、温室効果ガス削減に向けた新戦略「革新的環境イノベーション戦略」を決定した。先端技術の研究開発を進めることが柱で、今後10年間で官民合わせて30兆円を投資する。
具体的には、▽二酸化炭素(CO2)を吸収する素材を活用したセメントの普及▽CO2を出さない製鉄の開発▽CO2を大量吸収する藻を原料にしたジェット燃料の製造――などに取り組む方針だ。
新戦略は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき昨年決定した長期戦略を補完する位置付けで、2050年までに世界のCO2排出量を600億トン以上削減する目標を新たに掲げた。気候変動対策で日本が世界に貢献する意欲を示したと言えよう。
なぜ技術革新が必要なのか。産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑えるパリ協定の目標を実現するには、世界全体で温室効果ガスを70%削減する必要がある。しかし、既存技術の進展だけでは、50年には年間800兆円にまで費用が膨らむとの試算もあり、コスト低減が求められている。
また、パリ協定では、先進国から途上国への資金的な援助が重視されているが、金額には限界もある。これに対し、技術面の支援は、途上国の自主的な取り組みを後押しすることに直結しよう。
加えて技術革新への挑戦は、新産業創出による雇用拡大のほか、国内産業の国際競争力の強化につなげる好機でもある。めざすべきは「環境と成長の好循環」である。
技術開発を進めるには、人材の育成も急務だ。新戦略では、開発拠点の責任者にノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が起用されることになった。研究者が意欲的に挑戦できる土壌を築いてほしい。
革新的な技術開発に時間がかかることは言うまでもないが、気候変動対策は待ったなしだ。石炭火力発電に依存する日本への世界的な批判が集まる中、CO2排出抑制に向けた従来の取り組みの強化と併せて、新戦略を進めることが重要だ。









