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2020年1月20日

阪神・淡路大震災から25年 あの日 思いつなぎ、いのち守る(3)

語り継ぐ 
命ある限り教訓を次世代に 
震災未経験の高校生らが担い立つ

震災の教訓を次世代へ――。80歳を超えてなお、語り部として活動する野村さん=神戸市中央区

「達成感を味わったことなど、一度もなかった」。神戸市の人と防災未来センターで語り部として活動する野村勝さん(81)は発災から8日間、寝る間もなく救助に当たった25年前を振り返り、今も悔やむ胸の内を明かした。

神戸市垂水消防署の消防隊員だった野村さんは、震度7の激震で木造住宅が軒並み倒壊、火の手も上がっていた長田区に救助へ。日が落ちるまで、近所同士の声が飛び交う温かな庶民の街。それが瞬く間に火の海と化していった。消火栓は断水。川も渇水し放水すらままならなかった。倒壊した家屋の中からかすかに声が聞こえれば、すぐ救助に取り掛かったが、応答がない家屋は後に回さざるを得なかった。目の前まで火が迫っていたからだ。

時には、無事だった住民から「さっきまで声が聞こえていたんだ! 早く助け出せよ!」などと罵声を浴びせられ突き飛ばされたことも。「全員を助け出せなかったことが今でもつらい。せめて語り部として亡くなった方の分まで命ある限り、震災の教訓を次の世代へつなぎたい」。野村さんは思いを吐露した。

四半世紀を経て被災者は高齢化し、兵庫県内で震災を経験していない世代も半数近くに。記憶も教訓も風化しつつある今、震災未経験の大学生や高校生が“次代の語り部”として取り組み始めている。

犠牲者を追悼する目的で震災の1995年から毎年行われている「神戸ルミナリエ」。昨年12月、約346万人が訪れた会場の東遊園地で、県立舞子高校(神戸市垂水区)の環境防災科の高校生が展示ブースを設置した。そこには、同校の卒業生が在校中に被災者から聞いた話をまとめたボードや、当時の写真など数十点が並べられていた。

中心者の一人、久米崚平君(高3)は「これまでは震災の恐ろしさを想像するだけだったが、実際に被災者から当時の話を聞き、言語に絶する恐怖と、災害への備えの重要さを実感した」と語った。

「被災者から聞いた体験や教訓を自分たちが新たな語り部となって、より若い世代へ受け継いでいく使命と責任がある」。そう口を揃える同校の生徒らの目は輝いていた。

教訓を次の世代へ――。“バトン”は、着実に後世へと引き継がれようとしている。

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