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自然の脅威と再生力 体感
4月から 島でエコツーリズム
ガイド同行、雄山の火口付近など散策
東京・三宅村
エコツーリズムの概要について担当者から話を聞く(右から)木村村議と藤井一都議
東京都三宅村(三宅島)は4月から、同村の活火山、雄山周辺を観光する「東京都版エコツーリズム」を開始する。雄山周辺は2000年の噴火以来、立ち入り禁止となっているが、火山活動の沈静化を機に、観光資源として生かしていく。都議会公明党(東村邦浩幹事長)と木村やすえ村議(村議選予定候補)が実現を後押ししてきた。
「東京都版エコツーリズム」は、貴重な自然が残る地域において、都認定の自然ガイドの同行を義務付けるなど立ち入りを限定することで自然保護とのバランスを図りながら、地域資源を観光振興に利用する制度。小笠原諸島の南島と母島の石門地区、御蔵島でも同様の取り組みが行われている。
三宅村は、2000年の雄山噴火により、05年に避難指示が解除されるまで全住民が島外へと避難を余儀なくされていた。15年以降は噴火警戒レベルが「1(活火山であることに留意)」に下がったものの、観光客数は「噴火前と比べ、ほぼ半減している」(村観光産業課)。
都と村は昨年6月、立ち入り禁止区域の適正利用に関する協定を締結し、三宅村でのエコツーリズム実施が決まった。
エコツーリズムが利用できるのは4月から11月。1日当たりの最大利用者は40人で、ガイドが同伴し1回最大2時間、雄山の火口付近などを散策する。安全性を考慮し、マスクやヘルメットも携行する予定だ。
都は昨年11月、ガイド養成のための講習会を開催。今後、20人程度のガイド認定をめざす。村は、立ち入り禁止区域の利用ルール周知などを進めていく。
公明党の木村村議は17年9月の定例会で「観光客誘致に向けた起爆剤となるのではないか」と強調し、エコツーリズムの実施を提案。このほか、都議会公明党も議会質問で繰り返し取り上げるなど、ネットワークで一貫して推進していた。
00年の噴火で自身も5年間、東京都八王子市へ避難していた木村村議は「三宅島は、これまで何度も噴火の被害に遭ったが、その度に立ち上がってきた。エコツーリズムを通して、自然の脅威と再生力を感じてほしい」とした上で、「今後、さらなる観光振興に取り組む」と話していた。