ニュース
車いす利用者支援システムを中央図書館に試験導入
職員呼べる専用端末を貸し出し
“手が届かない”なくそう
大阪・枚方市
車いす利用者支援システムについて説明を受ける市議会公明党のメンバー
届かない場所にある本も車いす利用者に気軽に手に取ってもらえるよう、大阪府枚方市は現在、市立中央図書館に、専用端末でQRコードを読み取って職員のサポートを求められるシステム「アンサーユー」を試験導入している。今後、利用状況を精査した上で本格的に事業を展開するか決める予定だが、既に多くの自治体から問い合わせがあり、高い関心が寄せられている。
アンサーユーは、2019年3月に試験導入され、今年3月末まで運用を続ける。
車いす利用者らが専用のスマートフォン型端末で市立中央図書館内の書架に貼り付けられたQRコードを読み取ると、職員がその場所まで駆け付ける仕組み。本の取り出しに困った際に声を出したり、窓口まで戻ったりする必要もなく、気軽にサポートを求められるのが特徴だ。端末はカウンターで貸し出している。
同図書館では、QRコードを200カ所に掲示。車いすに座ったままの状態でかざしやすいよう、高さは90センチとしている。
市によると、車いす利用者は家族や介助者と来館することが多いが、娯楽や趣味などに関する本を読みたい時は介助者に遠慮して協力を求められず、本を手に取れないこともあるという。こうした心情に対応するシステムとして、車いす利用者の期待は大きい。
アンサーユーを開発したMOGコンサルタント株式会社の森石勇人さんには、車いす利用者から「図書館で高い所や低い所にある本が取れない」「実際に読むのを諦めた」などの声が寄せられていたという。
各地からの問い合わせも多数
システムを体験した車いす利用者の志由孝さんは「大変便利なもの」と感想を語るとともに、「図書館は私たちにとって利用しづらいイメージが強い」と吐露する。
市の担当者は「来館したことがない車いす利用者を含め多くの人に知ってもらい、一人でも気軽に立ち寄ってもらえる図書館にしていきたい。各地からの問い合わせも多い」と述べ、本格導入を見据えて意気込みを語っていた。
枚方市議会公明党(山口勤幹事長)の有山正信議員は18年12月の定例会で、利用者に親切な図書館をめざして、車いす利用者支援システムの導入を求めていた。