ニュース
コラム「北斗七星」
「令和」の考案者とされる国文学者の中西進氏は、万葉集の歌の原点に「和を以て貴し」とする聖徳太子の「十七条憲法」の理想があるという◆第十条の「憤ったり、それを顔に表したりせず、人が自分と違っても怒ってはならない」(趣意)に注目し、こう語る。「人は自らを賢いと思うからこそ心に怒りを抱いたり、顔に出して怒りを示したりして戦争をする。これに対して太子は、わが身を顧みれば人はみな凡夫であるとし、怒りをおさめ、和を大切にしようとした」(去年10月16日~12月11日付読売連載)◆世界には今も戦火が絶えない地域がある。各地で覇権争いがやまない。そこには「われ賢し」とする指導者らの「怒り」が見える。知識階層だけではなく、防人や無名の農民、庶民の歌が数多く収められている万葉集を、中西氏は「人はみな凡夫という人間宣言の表れ」と評し、「万葉集では、生命力があるかないかで、よい歌と悪い歌が区別される」と教えている◆日本の古典に精通する坂口由美子さんは『万葉集』(角川書店編)で「万葉の人々がいかに切実に人を愛し、いかに痛切に人の死を悼んだか、そのエネルギーに圧倒される」と◆万葉集が出典の新元号に移って初めての正月を迎え、生命力あふれる大衆とともに、令しき平和を開く一年にと誓う。(三)









