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コラム「北斗七星」
阪神・淡路大震災での消火活動中、倒壊家屋の下敷きになり苦しむ女性を救えなかった元消防士がいる。二次災害を防ごうと現場を離れたことから、退職した現在も「逃げてしまった」との罪悪感を抱える。震災の話になると<その時に引き戻され、当時放水しながら想像したおばあさんの叫び声が今でも聞こえる>という◆この話を聞いた同僚が、救助活動の様子を記録しようと絵に残した。現場に居たようなリアルな絵を目にすると、救助できなかった無念の思いとともに消防士としての誇りが湧き起こる。長年、見続けるうちに、トラウマ(精神的外傷)が和らいだ◆書籍『大災害と相対的トラウマ』(ナカニシヤ出版)に記された体験である。関西学院大学(兵庫県西宮市)の金菱清ゼミ(災害社会学)の学生24人が東日本大震災、熊本地震や能登半島地震などの被災地で遺族らから九つの出来事を聞き書きした◆喪失感に苦しむ人にとって「災害は思い出したくない」。だが「震災を誰かに伝えて」と重い口を開いた◆時間の経過で感情は変化しても残り続けるトラウマ。それは<「乗り越える」ものではなく「共に抱えて生きる」もの>という。“あの日”から、きょう31年を数える。(川)









