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2026年1月14日

(展望2026)今後の日中関係

「戦略的互恵」に復帰を 
日本の経済発展などに不可欠 
元駐中国大使 宮本雄二氏

日本という社会は、物事を大きく捉えながら具体的な問題を考えるのが、どうも苦手のように見える。中国問題も例外ではない。

世界は大きな変動期に入った。ルールに基づく国際秩序は大きく動揺し、米国は内向き傾向を強め、中国は世界のリーダーへの道をまい進している。この激動の時期にあって日本は国家の平和と繁栄を実現するための大戦略を持たなければならない。それは、ルールに基づく国際秩序の護持、米国頼みの安全保障政策の調整、経済の持続的発展を可能とする条件整備である。これらの全てに中国は深く関わってくる。

中国とどう付き合うかのカギは、中国をどう客観的に認識するかにかかっている。大方の予想に反して、中国は現行の国際秩序を変えるつもりはなく、中国に有利なものにしようとしているだけだ。中国の急速な軍事力の増強が地域の不安定要因になっているが、それを解消する道は、日米安保体制の強化以外にもある。中国経済は不調と言われながらも成長を続けており、世界経済に占める重要性はさらに高まる。巨大な国内市場があり、世界最先端の産業も急増している。このような中国と、いがみ合い、軍事的に対抗し、経済的に分断され、現行の国際秩序の自然崩壊を黙って眺めているだけでは、日本の大戦略と真逆の対応をしていることになる。

■国際秩序護持へ協力の余地ある

中国を客観的に認識すれば展望は開ける。現行の国際秩序の護持と強化に向けて日中が協力する余地はある。東アジアは既に軍拡競争に入り、緊張は高まっており、この地域に平和と安全をもたらす新たな道を中国とも議論したら良い。中国経済を最大限に使って日本経済の再生を図る戦略は依然として有効である。日中「戦略的互恵関係」とは、実は、これら全てを包摂した概念なのである。

中国は「一つの中国の原則」が認められたという前提で日米と国交を正常化した。日米は、この原則に若干の留保を付け、米国は台湾の安全に関心を払い続け、日本も日米安保条約を通じ、ここと結び付けられてきた。

「台湾有事」を公に語るということは、中国の原則の正面からの否定であり、だから日米共に曖昧にしてきた。高市早苗首相の発言は、そこを表に出し中国の激しい反発を招いた。ここは是正するしかない。「台湾有事」は、すなわち戦争であり、全てが崩壊し、皆が甚大な不利益を被る。だから「台湾有事」を起こさないことを日米外交の最大の任務としてきた。

日中関係は速やかに修復される必要がある。なぜなら日中の「戦略的互恵関係」に復帰することこそが、日本の大戦略の実現を可能とする唯一の対中政策だからである。大局が見えず、部分にこだわり破局を迎えた戦前の轍を踏んではならない。

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