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【主張】民事裁判改革 全面IT化で利用しやすい制度へ
民事裁判を提起しても、オンライン利用で一度も裁判所に行くことなく判決を得られる――民事裁判の全面IT化を定めた改正民事訴訟法を来年5月21日から全面施行する政令が、12日に閣議決定された。
経済活動や市民生活の中で起きる私人同士のトラブルを、法律で適正・円滑に解決する民事裁判は重要な社会インフラだ。全面IT化で民事裁判が利用しやすくなり、司法が身近になることを期待したい。
改正法は2022年に成立し、23年から段階的に施行されてきた。
24年3月からは、原告・被告の一方または双方が、ウェブ会議を利用して法廷での口頭弁論に参加できる仕組みがスタートした。
全面施行になれば、現在は紙で作成し裁判所に持参しなくてはならない訴状や、主張書面の提出がオンラインで可能になり、裁判所から送達される必要書類や判決も同様となる。
さらに改正法は、裁判の迅速化をめざす法定審理期間訴訟制度を創設する。
現行法には審理期間を定めた規定がなく、いつ裁判が終わるかの見通しが立たないことから、提訴をためらう理由にもなっていた。そこで、原告・被告双方の申し出・同意があれば、手続き開始から6カ月以内に審理を終結させ、そこから1カ月以内に判決を出せるようにする。
ただし、消費者法や個別の労働紛争など、弱い立場の市民が企業に立ち向かうような裁判では、この制度は使えない。
IT化の議論が始まった18年当時、日本の民事裁判は世界銀行の報告書の中でも、オンラインによる訴状提出ができないなど「裁判の自動化」の遅れを理由に、厳しい評価を受けていた。国際取引の中で民事紛争が起きた場合、外国企業にも日本の裁判所を利用してもらえるように司法制度を整えることは、重要なテーマである。
全面IT化と迅速化で、民事裁判はようやく国際標準の時代に入る。司法の存在感が増し、人権保障が進むことを望む。









