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2019年12月12日

有害獣の肉を特産品に

ジビエ処理施設が完成 
全国最多規模 年1500頭めざす 
深刻な農作物被害の減少に期待 
広島・東広島市

和泉川さんに案内され、ジビエの処理方法などについて話を聞く(左から)加根、坂元、竹川の各市議

広島県東広島市はこのほど、イノシシとシカ専用の食肉処理加工施設を開設した。野生鳥獣の肉「ジビエ」を地域の特産品として活用するとともに、深刻な農作物被害の減少をめざす。公明党市議団の竹川秀明、加根佳基、坂元百合子の各議員が同施設を訪れ、関係者と意見を交わした。

「地域の害獣被害防止とジビエの普及へ、年間1500頭の処理をめざす」。こう話すのは、東広島市でイノシシなどの食肉加工を手掛ける東広島ジビエセンター株式会社の和泉川健太郎社長だ。同市豊栄支所向かいに完成した処理加工施設の指定管理者を務める。目標に掲げる処理頭数は全国最多の規模だ。

和泉川さんが猟師仲間と共に同社を設立したきっかけは、鳥獣被害に悩む農家の姿を目の当たりにしたことだった。実際、市内の農作物被害は深刻で、2018年度はイノシシとシカが計3310頭捕獲され、15年前に比べて約7倍に増加。農作物の鳥獣被害総額は17年度に2700万円を超え、このうちイノシシとシカによる被害が95%を占めた。

同社は昨年、市内で775頭を捕獲・処理し、東京や大阪、名古屋、広島などのレストランへ出荷した。肉の臭みが残らないよう工夫した処理を徹底し、各地で高い評価を得ているという。ただ施設面積が狭く、処理能力に限界があった。

市としても、防護柵、捕獲柵の設置費用や狩猟免許取得費を補助するなど対策を実施してきた。そして今回、新たな処理加工施設を設けることで、特産品の創出をめざした。市は約5700万円かけて施設を整備。このうち約2200万円は国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用した。

完成した施設は鉄骨造り平屋建て約120平方メートル。捕獲したイノシシなどを解体する処理室のほか、大型の冷蔵庫と冷凍庫、スライスした肉を真空パックに詰める包装室などを備える。

市農林水産課によると、来年3月までに農林水産省の「国産ジビエ認証」を取得し、ジビエの安全性の向上やブランド化を進めたいとしている。和泉川さんは「課題は販路拡大と人材育成。自然界の大切な命を地域活性化につなげ、地元の人に喜んでもらえる施設にしたい」と話していた。

公明、開設を推進

党市議団はこれまで、議会質問などを通し、鳥獣被害対策やジビエ利活用を一貫して推進。処理加工施設については、加根議員が14年6月と17年12月の議会で早期整備を訴えていた。視察後、党市議団は「農家が直面する鳥獣被害の減少とジビエ普及へ、これからも全力を挙げる」と語った。

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