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2025年12月17日

アートなど文化芸術で障がい者に活躍の場を

文字や絵をデザインに 
専門学生と共に制作、商品化も 
東京・渋谷区の「フォント」事業

障がいのある人たちが文化芸術分野で活躍する場が広がりつつある。東京都渋谷区では、障がい者、デザインを学ぶ専門学生、自治体が連携して“新たなデザイン”を創り出す事業「シブヤフォント」が注目を集めている。これを紹介し、文化庁や公明党の取り組みもまとめた。

渋谷区役所に展示されたシブヤフォントの作品

障がいのある人と学生が共に創り上げたフォント(書体)やパターン(絵柄)が渋谷区庁舎の1、2階にズラリと並ぶ。「この服かわいい!」「斬新な発想で面白いね」。庁舎を訪れた区民は独創的な作品を鑑賞し、まるで“美術館”のような空間を楽しんでいた。

12月上旬、区障害者週間イベントの一環で、シブヤフォント事業から生まれたデザインが区役所や商業施設などに展示された。

シブヤフォントは、渋谷区、区内の障がい者支援事業所11カ所、専門学校「桑沢デザイン研究所」(同区)が共同で実施する事業だ。一般社団法人「シブヤフォント」が区から業務委託を受ける形で運営している。

知的、精神、身体障がいなどを持つ人が文字や絵を創り、学生と協力しデザインとして仕上げる。作品は区のパブリックデータとして専用サイトで公表され、個人は無料か500円で使用できる。商用は別に料金がかかる。公共施設の案内表示、施設や企業の商品、グーグル社のサービス「グーグルフォント」で提供されるフォントなど幅広く活用されている。

2016年の事業開始以来、累計で学生94人、障がい者273人が携わり、680種以上のデザイン、約1200種の商品が生まれた。商品に採用した企業は122社に上り、グッドデザイン賞など著名な賞を受賞している。データ利用料などの売り上げから、11の事業所に年間400~600万円程度が支払われ、障がい者の工賃向上にもつながっているという。

壁でなく個性

同法人の磯村歩共同代表は「障がいのある人が学生や地域の人と交流する中で“障がい”に対する固定観念が消え、理解が深まっている」と語る。

事業に参加した障がい者からは「ぼくの字が“すごい良い”って褒めてくれた」「無理に変わる必要はない。今のままで十分なんだと思った」といった声が寄せられた。

また、障がいのある子を持つ家族にも影響が。「普通という枠に無理やりはめ込もうとしていた」「シブヤフォントに関わってから息子を自慢するようになった」

区障がい者福祉課は「アートを通じて、障がいは壁ではなく魅力的な個性であると知ってもらいたい」と話す。

全国22地域に広がる

渋谷発の“共創”の試みは全国に広がる。同法人は22年から、各地域に住む障がい者や障がい者支援事業所、デザイナーらが協力してデザインを創る事業「ご当地フォント」のプロデュースも開始。現在、「さっぽろふぉんと」や「なにわふぉんと」など全国22エリアで、地域ならではのデザインが生まれている。

磯村共同代表は「障がいのある人が持つ可能性を、デザインの力で可視化することができる。今後、もっと地域に根差した活動を進めて、福祉の関係人口を増やしていきたい」と力を込める。

公明党も推進

区議会公明党はシブヤフォント事業を推進しており、作品を活用した商品の販路拡大や認知度向上に向けた取り組みなどを議会で訴えてきた。

活動拡大へ国が推進事業

公明、法整備などリード

公明党は、2018年の「障害者文化芸術活動推進法」の成立をリードした。党国会議員が法整備に向けた超党派の議員連盟の発足に奔走。障がい者団体から丁寧に声を聴きながら同法案の取りまとめに尽力した。同法に基づき、文化庁は19年度から「障害者等による文化芸術活動推進事業」を実施。障がい者らによる文化芸術の創造や発表などに取り組む団体を支援している。

24年度は同事業に42件のプロジェクトが採択。例えば、愛媛県のNPO法人は、精神障がいのある人の言葉や思いなどを演劇として表現する活動を実施したという。

公明党は、先の参院選政策集でも「障がい児者の文化芸術活動を推進」と明記。障がいのある人がその個性や能力を存分に発揮できる社会づくりをめざす方針だ。

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