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【主張】対人地雷の廃絶 「最後の5年間」で成し遂げよ
対人地雷の使用や製造、保有などを禁止するだけでなく、廃棄や除去も求める「対人地雷全面禁止条約」(オタワ条約)の第4回検討会議が先月下旬、ノルウェーのオスロで開催された。
同会議は5年に一度開かれ、オタワ条約を批准した日本など164カ国・地域による条約の実施状況を評価し、対人地雷を巡る問題の解決に向けた方針を決める。
今回の会議で採択された、2020年から25年までの行動計画(オスロ行動計画)は、特に重要である。オタワ条約の締約国は、対人地雷のない世界を25年までに実現するという目標を掲げているからだ。オスロ行動計画の実施期限を「最後の5年間とする」との強い決意で、対人地雷の廃絶を成し遂げるべきだ。
地上や地中に敷設され、人が踏むなどすると爆発する対人地雷。手足を吹き飛ばし、一生苦しむことになる危害を与える残虐性から、「悪魔の兵器」とも呼ばれている。
昨年1年間の対人地雷による死傷者は6897人。そのうちの実に7割以上が民間人である。民間人を巻き込む無差別攻撃を禁じた国際人道法に違反する非人道兵器であるからこそ、対人地雷の廃絶が求められている。
今や、対人地雷のない世界は目前と言っても過言ではない。日本など締約国が保有していた対人地雷の廃棄は進み、対人地雷が埋設されている31カ国・地域のうち、27カ国の除去作業が完了、もしくは完了間近だ。オタワ条約が発効する前、世界中に約1億6000万個あると推計されていた対人地雷は、現在、5000万個以下まで減った。
残念ながら、対人地雷埋設国・地域のクロアチア、イラク、パレスチナ、スリランカでの除去作業が、25年までに完了できない可能性が高い。オスロ行動計画で求められている地雷除去支援の一層の強化が必要だ。日本の技術力を生かした地雷除去機などの開発と、地雷埋設国での実際の活用が今後も重要となる。
オスロ行動計画では、対人地雷で負傷した被害者への支援の充実も明記されている。対人地雷問題に対する取り組み全体のうち、被害者支援が1割に満たない現状は改善すべきである。