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2025年12月16日

コラム「北斗七星」

釣りと酒と将棋をこよなく愛した文豪・井伏鱒二に、なじみのおでん屋で戦時中に出されていた「ウナギの蒲焼き」の話がある。食料が手に入らない時代。実はライギョの蒲焼きだったと、戦後に店主から聞かされた。だまされて怒るでもなく、淡々と随筆『荻窪風土記』に書いているから面白い◆ウナギで最近、肝を冷やす出来事があった。ニホンウナギを含む全種を国際取引の規制対象にするという欧州連合(EU)などの提案の行方だ。結局、ワシントン条約の締約国会議で否決された。日本の各国への働き掛けが奏功したようだ◆捕まらず、ヌルッと逃げた感じだが、喜んではいられない。資源量は実際に著しく減っており、ニホンウナギは絶滅危惧種に国際自然保護連合(IUCN)や環境省から指定されている◆日本で食べるウナギの7割は、中国などからの輸入に頼る。稚魚のシラスウナギを捕獲して養殖する仕組みも乱獲や密漁にさらされている。食文化を守るため、日本は国際協調と資源保護をもっと意識すべきだ◆もうすぐ年末年始。東日本のサケ、西日本のブリをはじめ、旬の魚が食卓を彩る。タラ、タイも決してライギョに代替などできない。多種多様な魚をいつまでも味わいたい。(青)

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