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2018年6月19日

コラム「北斗七星」

今年のカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』を見た。貧困、孤独、児童虐待など今日的な問題を織り込みながら日本のいまを問うた力作だ◆東京の下町の高層マンション群の底に取り残された古い一軒家に祖母と夫婦ら6人が暮らしている。狭くて猥雑な住まい。ごみや汗、かび、おねしょなどの臭いが混ざった濃密な空気が漂う◆祖母の年金を当てにして、父と小学校に通っていない息子が、万引きでたつきを立てているぐらいだから、一家の生活態度は極めていいかげんなのだが、貧しくも笑いの絶えない団欒があり、安らぎに満ちた時間が流れていく。それにしても、この“懐かしさ”は何だろう◆哲学者の鷲田清一さんは、近代社会は、これが「できる」という条件付きで、ひとが認められる社会であり、ひとは自分が「いる」に値するものであるかどうかを、会社、学校、家庭の中で常に突きつけられている、というようなことを書いている◆何かが「できる」から居ることを許されるのじゃなく、ただ「いる」だけで価値が認められる居場所といったものが、ひとには必要なのだろう。そんなことを考えながら、映画のラストで、父子がしたようにカップ麺にコロッケを浸して食べてみた。なるほどこれも“クール・ジャパン”である。(中)

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