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がん5年生存率が向上
悪性リンパ腫や肺、大きく改善
早期発見増加と医療の進歩で
国立がん研の調査結果から
国立がん研究センターは11月19日、2012~15年にがんと診断された人の5年後の生存率を公表した。同様の調査を始めた約30年前と比べ、多くの部位で生存率の向上がみられた。調査・分析結果を解説するとともに、東京大学大学院医学系研究科の中川恵一特任教授の見解を紹介する。
調査は都道府県ごとに、がん患者の診断・治療に関する情報を収集し登録する「地域がん登録」のデータが活用されている。分析の対象は44都道府県の約254万7000症例。前回20年に公表した22府県約59万症例から4倍以上に拡大し、実態をより反映する推計値となったのが特徴だ。
生存率は、がんのみが死因となる場合を推計した「純生存率」で算出。従来は相対生存率が用いられていたが、実際より過大となる恐れがあるため、計算方法が変更された。
15歳以上の5年生存率を部位別で見ると、患者数の多い胃は63.5%(男性64.4%、女性61.4%)、大腸は67.2%(男性68.1%、女性66.0%)、肺は35.5%(男性30.2%、女性46.8%)などとなった。
1993~96年の結果と比べると、検診受診率の向上による早期発見の増加や治療技術の進歩によって、多くの部位で生存率が向上している【表参照】。男性は前立腺、悪性リンパ腫などで大きく上昇。女性は悪性リンパ腫や肺などで改善した。反対に、膵臓や胆のう・胆管などは大きな改善がみられず生存率の低さが際立つ。
調査では、がんの進行度による生存率の違いも明らかにしている。がんが最初に発生した場所(原発巣)にとどまっている場合、胃92.4%、大腸92.3%、肺77.8%と高い値となった。原発巣から離れた臓器や組織に移動し、そこで増殖する「遠隔転移」まで進行すると、胃6.3%、大腸16.8%、肺8.2%などと大きく低下し、早期発見・治療の重要さを示す結果となった。
一方、生存率に地域差が生じている現状も判明している。例えば、胃は愛知、沖縄、茨城、群馬、埼玉などの各県が低く、肺では青森、福島、沖縄などの各県で低い結果となり、全国的なばらつきが明らかになった。
15歳未満の小児の5年生存率も公表され、胚細胞性腫瘍などが94.5%、網膜芽腫が94.6%と高かったものの、脊髄腫瘍などは57.1%と低かった。
2016年以降の調査は、全ての患者情報を国のデータベースで一元的に管理する「全国がん登録」のデータを活用。より精度の高いデータが効果的に集まることが期待される。
■基本法制定など公明がリード
公明党は、がん対策に一貫して取り組んできた。
国を挙げた対策が本格化する契機となったのが、06年に制定された「がん対策基本法」だ。公明党が与野党の合意形成をリードして実現に至った。
基本法では、がんの予防や早期発見へ検診の普及啓発、高度な専門医療を受けられる医療機関の整備などが掲げられ、政府が「基本計画」を策定して具体策を実施することを明記。その基本計画で、重点的に取り組む課題として「がん登録」が位置付けられた。
13年には、がん患者についての情報提供を病院に義務付ける「がん登録推進法」の制定に尽力。全国がん登録の実現に道を開いた。
このほか、乳がん・子宮頸がん検診の無料クーポンの配布、胃がんの原因となるピロリ菌の除菌治療や最先端の放射線治療への保険適用など、数多くの対策を実現に導いている。
■膵臓がん対策に本腰を/東京大学大学院特任教授 中川恵一氏
今回明らかになった「5年生存率」の向上は、わが国のがん対策が着実に進歩している証しだと言える。
がん対策基本法の制定以来、がんの予防や早期発見へ検診の普及啓発が進んできた。治療についても、外科的手術に加えて放射線や抗がん剤といった薬物治療が広がった。基本法制定をはじめ、対策の充実を一貫して後押ししてきた公明党の尽力は大きい。
分析結果からは、部位によって生存率に地域差が判明している。検診の受診状況や医療体制に格差が生じている可能性に加え、喫煙など生活習慣においても地域の特徴が影響していることが考えられる。今後の対策に生かすことが重要だ。
5年生存率をさらに向上させていくには、検診による早期発見・治療が鍵を握る。一方で、がんは臓器によって性質が大きく異なる病気であり、生存率が100%に近いものから低いものまでかなりの差がある。
特に、膵臓がんは生存率で大きな改善がみられず患者数も増加傾向だ。早期発見の難しさが背景にあるが、大腸がん検診のように安価で簡便な検査はない。
例えば、MRIによる年2回の検診実施の有効性を検証するのは一案で、財政的に余力のある都市で試験的に行ってみてはどうか。公明党には今後、膵臓がんの対策に力を入れてもらいたい。










