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ルポ 政策課題の現場 福岡「中小企業DX推進センター」の取り組み
経営改善へ伴走型支援 専門アドバイザーを設置
設備投資など親身に助言
暮らしを圧迫する物価高の克服へカギを握る持続的な賃上げ。その実現には、特に中小企業の生産性向上による“稼ぐ力”強化が不可欠だ。福岡県の「中小企業DX(デジタルトランスフォーメーション)推進センター」は現在、プロのアドバイザーが、企業課題の改善へ設備投資などを伴走型で支援し、コスト削減で成果を挙げている。具体的な取り組みを追った。
経営者「3~5%の賃上げできた」
日高社長(右)から、新たに導入した、とじ機の説明を受ける公明党の壱岐和郎県議(中)と掛田るみ子市議=10月21日 福岡・中間市
「アドバイザーのおかげで、おおむね3~5%の賃上げができた」。こう語るのは、福岡県中間市にある創業112年の「有限会社日高印刷所」(従業員7人)の日高慶太郎社長だ。2019年に初めて同センターを利用し、センター側の親身な対応に太鼓判を押す。
取材当日、「生産性を上げる新戦力がある」と日高社長が案内した先は同社の作業場。インクの独特な匂いと老舗企業ならではの使い込まれた機械の稼働音が響き渡る部屋に、ひときわ新しそうな、紙を冊子にする「とじ機」があった。
以前、使用していたとじ機は「老朽化により印刷後の製本工程で根詰まりが生じている」と、アドバイザーから指摘を受け、県の補助金を活用し機器を入れ替えた。1時間で従来の100冊から300冊まで処理能力が上がったという。
センター利用のきっかけは印刷機器の故障による生産効率の低下だった。業者に復旧を依頼するも納品日までに間に合わず、売上げ額の3割を外部発注せざるを得ない厳しい状況に陥ったことも少なくなかった。
「二人三脚での対応うれしい」
こうした課題に対し、アドバイザーは、とじ機刷新のほか、印刷機器のトラブルを未然に防ぐための定期的なメンテナンスを提案。すると作業停止時間はほぼ解消し、現在の1日の印刷枚数は目標の1万枚を優に上回る3万枚超に向上した。日高社長は「支援なしには事業として成り立っていなかった。二人三脚の対応がうれしかった」と述懐する。
同センターはこうした県内の中小企業が抱える経営課題に対し、生産性向上に精通したアドバイザーらが事業所を訪れ、目標や計画を策定し、業務の効率化に有効な設備導入や作業工程の見直しなどを助言する。生産性が向上するまで無料で何度でも利用することができる。
同センターによると、開設から6年で805社の応募を受け、393社の支援が完了。累計21億円のコスト削減と、効率化や工程の見直しなどにより累計38万時間の短縮を実現した(今年9月時点)という。
来年度から全国に展開
こうした成功事例を踏まえ、国は来年4月から同センターをモデルとした「生産性向上支援センター(仮称)」を各都道府県にある中小企業向け相談窓口「よろず支援拠点」に開設する予定だ。生産性の向上を賃上げに結び付けられるかが問われる。
公明、サポート体制の構築提言
公明党は8月4日、来年度予算の概算要求に関する要望で、経済産業省に対し、よろず支援拠点での丁寧なサポート体制の構築や省力化への支援などを提言していた。
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