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【主張】無痛分娩 安全な体制整備とリスクの理解を
出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩のニーズが高まっている。安全性を確保しながら各地の体制を整えていかねばならない。
東京都が先月から無痛分娩の費用助成を始めた。都道府県では初めてで、経済的負担を抑えるとともに、希望者の出産方法の選択肢を広げる狙いがある。群馬県下仁田町などでも既に実施されており、助成制度を設ける動きは自治体の間に広がりつつある。
無痛分娩は、神経が集まる脊髄近くに管を入れて麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」が主流だ。お産の痛みの緩和に加え、体力の消耗や精神的不安を軽減し、産後の回復が早いとされる。高血圧や心疾患などを患う妊婦が、より安全に産むために勧められる場合もある。
麻酔薬の副作用としては足の力が入りにくくなったり、血圧低下やかゆみなどが報告されている。ごくまれに血中の麻酔薬濃度が高まり、不整脈など重篤な合併症を起こす恐れがあるほか、過去には妊婦が死亡したり、重い障害を負ったりした事故も起きている。
妊婦と家族が安全性とリスクを理解し、選択できるようにすることが重要だ。だが、中にはSNS上の口コミだけで決める人もいるとみられ、正しい知識の一層の周知が欠かせない。
日本産婦人科医会によると、2023年の全分娩に占める無痛分娩の割合は13.8%で、18年からの5年で倍以上に増えた。ニーズの高まりに伴い、知識や技術、経験の乏しい施設での事故を懸念する声も出ている。政府は関係する医療機関へ専門的な研修の受講などを徹底し、安全対策の強化に力を入れてもらいたい。
日本では麻酔科医が不足しており、特に産科に限ると、より少ない実態がある。このため、24時間対応が可能な施設は一部に限られ、出産日程を事前に決める「計画無痛分娩」での受け入れが一般的だ。
提供施設の地域的な偏りは大きく、地方は身近にないケースが多い。麻酔科医の確保を着実に進め、希望する妊婦が安心して選択できる環境を広げてほしい。









