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【主張】米国が核実験再開か 軍拡競争招く愚行に踏み切るな
米国のトランプ大統領は先月30日、核実験の再開を国防総省に指示したと明らかにし、各国を驚かせた。
トランプ氏の言う核実験とは核爆発を伴う実爆実験なのか、核爆発を起こさずにコンピューター・シミュレーションで済ます臨界前実験なのか、それとも核弾頭を搭載できるミサイルの発射実験なのかは不明だ。
もし実爆実験を行うのであれば、核軍拡競争の過熱化を招くことは火を見るよりも明らかだ。そのような愚行に及んではならない。現にロシアのプーチン大統領は今月5日、米国が核実験を行った場合、ロシアも追随する準備を進めるよう関係省庁に指示した。
そもそも、実爆実験を禁じる「包括的核実験禁止条約」(CTBT)が1996年に成立して以降、米国とロシア、中国、英国、フランスの核兵器保有5カ国は実爆実験の自主的な一時停止(モラトリアム)を継続している。米国はこの潮流に逆行すべきではない。
米国は現在、総額で約1.7兆ドル(約260兆円)という莫大な費用が想定される規模の核兵器近代化計画を進めている。
この計画の中には、多くの標的を同時に攻撃するため、一つの弾道ミサイルに複数の精密誘導核弾頭を搭載可能にした「個別誘導多弾頭」(MIRV)型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)用の新型核弾頭W93の開発がある。
W93とその運搬手段のMIRV型SLBMについては、他の保有国に米国の技術の優位性を示すものとして、トランプ氏は期待している。懸念されるのは、W93の威力や性能の検証は実爆実験でなければ完全には分からないと、トランプ氏を支持する保守派の議員や専門家らが主張していることだ。
米国は来年2月に期限を迎える米ロ間で唯一有効な核軍縮条約「新戦略兵器削減条約」(新START)の延長、もしくは後継条約の成立に向けた交渉の進展も望んでいる。実爆実験を行えば、その交渉を進めることはほぼ不可能になると強く指摘しておきたい。









